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【中国、米国債を売却?】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑤

2013-07-21 00:02:54 | 世界共通

(前回からの続き)

 といった具合で、何だか日本の不動産バブル崩壊後の展開と似た感じになってきた中国の「影の銀行(シャドーバンキング)問題」ですが、ということはこれから実施される最終的な対策まで予想がつくというものです。それは先述した15年前の日本と同じ、つまり中国政府が、経営実態がひどすぎる一部の銀行を閉鎖・破綻処理するとともに、残りの多数の銀行には資本注入するというもの。もちろんこれには大金が必要となりますが、ある程度は財政資金で賄うものの、もしかしたらそれだけでは足りなくなるかもしれません。そこで中国政府が行う可能性があるのが、資金工面のための外貨準備の取り崩しです。

 じつはこれこそ中国シャドーバンキング問題における最大のリスクだと思っています。国内の不動産バブルの清算費用を捻出するために外貨、要するに、ドル・米国債を売却する―――第一位の米国債保有国である中国がそんなアクションを取らざるを得ないところに追い詰められる・・・このへんが世界のマーケットがシャドーバンキング問題を恐れる真の理由でしょう。

 米財務省が発表したデータによれば、4月の中国の米国債保有高は3月と比べると50億ドルほども減っています。さらに外国中銀および国際機関が保有する対米証券保有高は先月26日時点でピーク時から約424億ドルも落ち込んだとのことです(FRBのQE1ヶ月分の国債買い入れ額にほぼ等しい額ですね)。そしてそのリアクションなのか、この間の3ヶ月ほどで、米長期金利は1%台半ばから2%台半ばへと1%程度上昇しています。このような数字から、すでに中国は米国債売りに動き出したのではないか、との推測も出てきています。

 もし本当に中国が米国債を売り始めたら、ただでさえQE縮小観測で価格が下がっている(利回りが上昇している)米国債のさらなる売りを世界中に誘発することでしょう。そうなれば米長期金利が一段と上がってしまいます。こちらを含めて何度か書いているように、金利の上昇こそ、アメリカがいま絶対に回避したい経済現象です。だからFRBとしては「せっかくQEで必死になって米国債を買い支えているのに、中国はなんてことをしてくれるんだ!」ということになるかもしれません。はたしてこの先、中国はシャドーバンキング問題にどう対処しようというのか・・・。

 そうしたなか、先日(16日)、米財務省より5月の対米証券投資統計が発表されました。それによると長期債投資は4ヶ月連続の売り越しとなったようですが、注目の中国の米国債保有高は1兆3159億ドルと4月よりも増えています。アメリカとしてはほっと一息といったところでしょうか。

 ただ、シャドーバンキング問題を含めた中国の不動産バブル処理はこれからが本番。今後の中国の金融情勢や金融改革の方向、そしてそれらに大きく左右されることになる米国債価格や米長期金利の動きから目が離せなくなりそうです。

(続く)


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