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【立ちはだかるアベノミクス】金融危機:「収束」した日本と「これから」の世界⑧

2013-07-27 00:03:12 | 世界共通

(前回からの続き)

 ようやく懸案の不良債権問題にケリをつけ、外国資産の価値低下リスクへの備えを固め、さあいよいよこれから!といった感じの日本の金融界ですが、ここへきて不安材料に直面しています。金融各社の財務を支える日本国債市場の動揺です。そしてその元凶となっているのが、(お行儀の悪い?)海外のヘッジファンドなどではなく、よりによって金融システムの守護者であるべきはずの日銀!だったりするわけですから弱ったものです・・・。

 現在の経済社会にあって金利の安定的なコントロールは最重要のファクターであるはず。そのため金利動向に大きな影響を与える国債市場は本来は穏やかに運営されてしかるべきです。それが黒田日銀「異次元緩和」のせいでマーケットは一気にアクティブになり、国債価格および長期金利が乱高下しました。「民間には買わせないもんね!」とばかりに新規発行国債のじつに70%を日銀が買おうというのですから、債券市場のそれまでの秩序が乱れてドタバタが起こるのは当然でしょう。

 本稿で述べてきたような不透明な世界経済の情勢から判断すれば、現時点で日本国債が大きく売られる心配はなく、したがって価格下落のリスクも金利上昇リスクも低いはず。つまり日銀が国債を買い支える必要性は乏しいということです。にもかかわらず円安誘導による外需狙い」でベースマネー拡大に躍起になるあまり、日銀は債券市場に過剰介入していらぬ混乱を引き起こし、中央銀行の目的である「金融システムの安定」を危険にさらしているわけで、このへんには日本の金融界も大いに当惑していることでしょう。

 銀行の融資拡大に水を差すという点では、金融政策を含む「アベノミクス」がトータルで威力を発揮します。

 今後の高い経済成長に向け、わが国のGDPの約6割を占める個人消費の活性化が強く求められるところですが、こともあろうにアベノミクスはこれに大きく逆行し、国民の消費活動を押さえ込もうとしています。実際、以前から指摘しているアベノミクス「3本の矢」―――円安誘導による輸入インフレ、物価高にともなう勤労者の実質賃金の引き下げ(年金受給者の実質受給額引き下げも然り)、景気回復ペースに合致しない金利上昇―――が庶民の日常生活に次々に襲いかかっているところ。そしていよいよ登場しそうな「とどめの矢」消費税増税で、わが国の個人消費は凍りつくとともに、高い水準にあった株価も射落とされ、アベノミクス唯一の頼みであった株の資産効果までも縮小し、日本経済は「消費税増税の崖」からデフレの奈落へ・・・

 ・・・といったように見てくると、アベノミクスのもとで肝心の個人消費の高まりは期待薄であることが想像されます(さすがにちょっと悲観的過ぎかな? 消費増税→円高→輸入インフレ緩和が期待?できそうだし)。おそらく個人向けの住宅や自動車などの販売は低迷し、銀行の住宅ローン等の件数や金額もなかなか増えていかないでしょう。

 このように個人消費が盛り上がりを欠けば、企業の設備投資意欲も高まることはないと予想しています。円安で外需増加が期待できる輸出企業だって、すでに生産基盤の国内外への分散配置は完了済み。よって、いまさら国内拠点を強化しようというところはそれほど出てこないでしょう。それに円安による原材料価格や電気・ガス料金等の値上がりで国内の生産コストは急騰していますし・・・。

 というわけで、わが国の銀行経営者としては、せっかく財務基盤が強化されたにもかかわらず、アベノミクスのおかげで個人も企業もお金を使わないから貸し出しは増えない、一方でマーケットが日銀にかき回されているために日本国債は買いづらい・・・じゃあ、お客さまから預かった資金をどうやって運用したらいいんだ? と言いたいところではないでしょうか。

(続く)


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