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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)⑥

2012-12-01 00:00:22 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 上記に掲げた状況やニュースなどからも分るように、欧州における(ゴールド)の評価や存在感は日を重ねるにつれて高まっている感じがします。裏を返せばそれだけ通貨ユーロの信頼が揺らいでいるということなのでしょう。

 世界主要金鉱山会社で構成される非営利団体ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、現在、ユーロ圏の国々は、国別「金」持ちランキングで1位のアメリカの8133トンを上回る合計10787トンもの公的な金準備を持っているそうです。そしてロイター社が発表した2011年の世界地域・国別の金の流出入量をみると、欧州は約317トンの流入超過となっています。これは北米地域(17トン)、中国(250トン)、インド(288トン)などよりも多くなっています(ちなみにわが国はマイナス47トンと突出した流出超過国・・・。日銀の政策規律と「円」の強さが逆に国民の金選好を引き下げる効果をもたらしているようです)。

 まったく解決の方向が見えないギリシャやスペインなどを含む欧州ソブリン危機ですが、欧州はおそらく欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策、つまりこれら問題国の国債買い入れなどで対応しようとするでしょう。でもこれはしょせん「資金繰り支援で時間稼ぎ」に過ぎません。PIIGS諸国の経済・財政状況の改善、国際競争力のある産業の育成、そして支払い能力の向上などには何の効果も無いといってもいいくらいでしょう。

 ギリシャ支援はそろそろ限界に近づいている感じです。ギリシャへの追加融資の是非をめぐる議論でIMFが主張しているように、先般の民間金融機関に続いて、ECBのような公的機関までもが、これら重債務国の「債務再編」という名の借金棒引きの受け入れ、つまり巨額の債権放棄にいよいよ追い込まれそうです。

 そうなってしまったらすべてのPIIGS諸国のモラル・ハザードに火がつくでしょう。つまり、ギリシャに続くポルトガルやスペインなどの国々は、虎の子の金塊を手放さないにもかかわらず「ギリシャの借金棒引きに民間金融機関もECBも応じたのだから、われわれの借金も同じように棒引きしろ!」などと言い出すのではないでしょうか。たとえばスペインの国民気質はこんな感じですし・・・。そしてEU圏3番目の大国イタリアまでそんな状況に追い込まれたら・・・ECBもユーロも存亡の淵に立たされることでしょう。

 そんな欧州と通貨ユーロの混迷が深まるにつれ、欧州における金は不気味な輝きを増していく・・・。欧州の各地で頻発している「反・緊縮財政」を掲げる激しいデモを伝えるニュースに接するたび、そんな思いを抱く今日この頃です。

(「ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)」おわり)


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