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「黒田日銀」にも求められる貧困軽減の理念②

2013-03-15 00:03:34 | 日本

(前回からの続き)

 じつは次期日銀総裁候補としての黒田氏の所信聴取の内容を伝える報道に接して思い出したのが本稿冒頭のADBの目標「貧困の軽減」でした。

 「貧困を減らそう、なくそう」とADBが訴えていたアジア通貨危機直後のアジア諸国では自国通貨の下落にともなうインフレが人々を苦しめており、貧困の軽減どころか逆に貧富の格差が拡大しつつあったように感じられました。そのためそうしたADBのメッセージには、貧困を減らすには(金融市場を安定させて)激しいインフレを抑制する必要がある、といったようにも聞こえたわけですが・・・。

 だからこそ、インフレを起こしてみせます!」―――「貧困ファイター」のはずのADBの現総裁としての黒田氏のそんな発言には違和感を覚えてしまうのです。「インフレ?日本でも貧困に苦しむ人が増えてしまうのではないか?ADBの理念に逆行してはいないか?」ということです。

 はたして「2年で2%のインフレ達成」が本当に現時点の日本経済や国民生活にとって望ましいことなのか、わたしたちはもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。

 まずは「物価の安定」の面から。

 ご存知のとおり、わが国のインフレ率は0%からややマイナスというレベルが長らく続いています(緩やかなデフレが続いています)。そして勤労者の所得は、増えている人は少数派で、多くの場合、よくて横ばいか減少傾向といったところではないでしょうか。それでもこれまでは緩やかなデフレのおかげで実質所得が増えてきたことに救いがあったわけです。

 かりにアベノミクスの目論見どおりインフレ率が2%に上がってしまったら、市民の所得は名目上はもちろん実質的にも一転して減少してしまうでしょう。そこで起こるのは収入の増加をともなわない物価高=「悪いインフレ」にほかなりません(すでに円安がもたらす輸入インフレの進行でその兆候が随所に出てきています)。そうなればわが国のGDPの約60%を占める個人消費は停滞し、日本経済は成長どころか逆にマイナスに落ち込むおそれすらあるでしょう。で、結局は、インフレ率2%の達成も危うくなるかもしれません・・・(そもそも「インフレ=物価高」を歓迎する生活者なんてほとんどいないはずだから、黒田日銀には申し訳ないけれど、一般市民にとっては「インフレ目標」未達成のほうがよかったりして!?)。

(続く)

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