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金の自国への移送を決定したドイツの真意②

2013-03-09 00:01:33 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 このあたりは11月の記事にも書いたように、(日本を除く?)世界各国が着々と公的な金準備を積み増しているなか、ドイツとしても大切な金(ゴールド)をしっかり手元にキープしておこうという判断が強く働いたものと推測されます。

 まずは金が他国に預けられていることで管理が行き届かなくなり、ニセモノにすり替えられたり、リーストレードなどに回されて消失してしまうリスクを回避しようという意図があるでしょう。

 そして何といってもユーロ、そしてドル(そして最近は「目標インフレ率2%」で「円」までも!)を含めた主要通貨が過度の量的緩和の影響で信認を落としつつある一方、それに反比例するかたちで通貨代替機能を持つ実物資産である金を再評価する動きが世界的に高まってきたことが大きいと思われます。

 何度かここに記しているとおり、現在、欧米諸国では、中央銀行による金融緩和策が継続され、国債や住宅ローン債券などの買い入れを通じて大量のマネーが市場に供給されています。これはバブル再膨張で資産効果を促して需要を喚起し景気浮揚を図ろうという、緩和マネーという「麻薬」投与を通じたいわば対症療法のようなもの。ちょうどいまは欧米経済の(束の間の?)安定を受けて市場が「リスクオン」となり、そんな麻薬効果で市場がユーフォリアに酔っている状態でしょうか。

 そうこうする間に、欧米諸国では(そして場合によっては「アベノミクス」の過激な金融政策の影響で日本でも)財政再建や産業再生などの抜本的な改革が進められないまま、やがてはマネーの刷り過ぎによるインフレと金利急上昇で通貨価値の信認が暴落し、金融恐慌が発生するとともに、急激な資産デフレ圧力で「紙風船」(マネーという紙でこしらえたバブル)は再びはじけ、激しいリセッションと社会の混乱が巻き起こる・・・。

 さまざまなリスクが予想されるなかで、国家や中銀の政策運営者は、もちろん、こういった悲観的なシナリオも念頭に置いた対策を講じておくべきでしょう。その有力な選択肢のひとつが金準備の増強であることはいうまでもないところ。

 行き過ぎた量的緩和で「不換紙幣」(金などの裏打ちがない紙幣)というマネーが本当の「紙」に等しいくらいに価値を落としたら、現在の通貨システムの大改編が必要になります。そのとき、無限にマネーを刷り散らかしたことの反省に立ち、かつての金本位制の完全復活とはいかないまでも、金(ゴールド)がふたたび何らかの貨幣管理の基準となるかもしれません。たとえば「新通貨の○%は金で裏付けることにする」といったように。

 そんな万が一の想定が現実化した場合に備える意味でも、外国に預けてある金準備を自国に取り戻しておこうという考え方は、国家のリスクマネジメントとしてとても大切なことだと思います。

(続く)

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