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中国を上手に「けん制」するには②

2013-03-01 00:02:06 | アジア

(前回からの続き)

 以前にも指摘したとおり、中国は「王朝国家だと思っています。

 王朝国家とは、旧王朝の失政や役人の腐敗、そして何よりも巨大な貧富の格差に怒った民衆が蜂起し、その王朝を(しばしば武力で)打倒して作った国家のこと(個人的な定義です)。その国を樹立した人民軍のリーダーやその一族は新しい君主や特権階級となって権力の世襲を繰り返していきます。そしてその政権もやがては失政や腐敗で混乱し・・・といったサイクルの繰り返しが中国四千年の歴史といえるでしょう。

 そんなカルマ(業)の悪循環(?)を止めるには、それこそ「さとり(差取り=身分や財産などの格差の少ない公平で公正な社会の構築)」が必要なわけです。で、現王朝である共産党政権はどうかですが、いうまでもないでしょう。共産主義の大切な理念のひとつは「平等」であったはずですが、何とも皮肉なものです。

 さてそんな現政権がもっともおそれるのが、アメリカでもましてや日本でもなく、自分たちに対する民衆の反乱のはずです。上記の中国の歴史のとおり権力を奪取した彼らはそんな歴史の教訓を知り尽くしていることでしょう。だからこそ人民のさまざまな権利を制限して、彼らが暴動等を起こして自分たちの地位を脅かさないようにしていると考えられます。そしてこうした締め付けがとりわけ厳しい階層が、過去、数々の反政府暴動をリードしてきた人々、つまり「農民」です。

 農民―――「王朝国家」中国のもう一方の主役です。中国ではいつの時代も階級の最下層に位置し、最大の人口を構成してきた身分層です。この「農民VS支配層」という対立の図式が中国の悠久の歴史ドラマを動かしてきました。当然ながら、ときの権力者は、自分たちの既得権益が危うくならないよう、さまざまな手段を用いて農民勢力の強大化を抑制してきました。それは現政権も同じ。その代表的な政策が戸籍制度」による農民の実質的な差別です。

 インターネットで集めた情報をまとめると、中国では1949年の共産党政権発足以降、農村から都市への人の移動を厳しく制限する戸籍制度が整備されました。都市戸籍」と「農村戸籍」という厳格な区分のもと、今日でも農民の実質的な地位は都市の住民よりも低く抑えられています

 たとえば、農民は都市では暫定的な居住権しか得られない、出稼ぎ者(農民工)は都市戸籍を持てないため雇用機会が制限されるうえ低賃金や長時間労働といった劣悪な条件を強いられる、農民工の身分では都市住民とは異なり教育や医療などの公共福祉サービスが十分に受けられない・・・などなど。

 もっとも中国は、経済の発展にともなって、農村の安価な労働力の確保などの必要から、こうした戸籍制度による制限の緩和を徐々に進めてはいるようです。それでも2011年末時点で、居住地と戸籍の登録地が異なる人々の総数は2.3億に達しており、そのうち農民工は約1.5億人に上るもようです。近年の農村から都市への労働力の移動を反映して、都市人口は7億近くに増加している一方で、農村人口は漸減傾向にはあるものの6億半ばと引き続き巨大な勢力であることには変わりありません(各数値は中国統計局等のデータより)。

 そもそも中国にこうした差別的な戸籍制度が存在するのは、農村から安定した税収を得ようという目的に加え、農民を自ら率いて共産党政権を打ち立てた毛沢東自身が、彼らが大都市に殺到することの恐ろしさを熟知していたためといわれているそうです。戸籍で農民を出身地に縛り付けることで、自分が起こしたような農民革命によって今度は自身の権力基盤が覆される危険にさらされるのを避けようという意図もあったのでしょう。

(続く)

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