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国債格付け「AA-」の日本円に負ける「AAA」諸国通貨①

2012-07-29 00:03:51 | 世界共通

 約1年前の8月はじめ、アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)社はアメリカの国債格付けをAAAから1段階低いAA+に格下げしました。そして同社は今年1月に欧州諸国債を格下げし、それまでAAA格だったフランス国債の格付けもAA+へ下がりました。これらの結果、主要国債でAAA格を維持するものが減ってきています。7月下旬時点でAAAの国債格付けを保っているおもな国々は、ドイツ、イギリス、オランダ、スイス、オーストラリア、カナダなどとなっています。

 ところで日本国債の現在の格付けはAA-。AAAから3段階も低い上、昨年4月には震災復興で財政赤字が膨らむ懸念があるとされ、格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ」に落とされており、近いうちにさらに低いA+あたりに引き下げられる可能性もあります。

 そもそも国債は最も安全な(ソブリンな)資産であり、国債の格付けとは当該国債発行国の債務返済能力の高さを示すもの。そのため現在のように、世界経済の不透明感が高まっているリスク回避モードの中では国債、とくに格付けの高い国債が買われてそれらの価格が上昇する(利回りが低下する)はずです。そして当然ながら、為替のほうも高格付け国の通貨が低い格付け国の通貨に対して高くなっていくことになるでしょう。

 ところが実際の為替動向は必ずしもそうはなっていません。このあたりについて、G20(20カ国・地域首脳会合メンバー国)のうち国債格付けがAAAとなっているドイツ(ユーロ)、イギリス(ポンド)、オーストラリア(豪ドル)、カナダ(加ドル)の、2007年7月以降のこの5年間の対円レート推移をたどりながら検証してみましょう(以下のグラフ:2007年7月を100[各月平均])。



 これによると、国債がAAA格の4カ国通貨ともに同AA-格の円に対して大きく下落していることが分かります。

 最も下落幅が大きいのが英ポンドで、今年6月時点では、2007年7月時点と比べて、円に対して50%以上も値を下げています(ポンドはイギリスよりも国債格付けが1段階低いAA+のアメリカのドルに対しても下落しています)。ユーロも同40%あまり下がっています。この下落はドイツに対する信頼感よりもPIIGS諸国のソブリン危機を含む欧州金融不安を色濃く反映しているということでしょう。両者に比べれば豪ドルや加ドルの下落率は25~35%程度で米ドルよりもやや小さい程度ですが、それでも円に対して大きく減価していることには変わりありません。

 2007年夏から現在までの5年間は、米サブプライム問題(2007年~)~リーマンショック(2008年)~欧州ソブリン危機(2009年~)に至る世界的な金融不安の時期と重なります。その直前あたりまで欧米諸国は住宅バブルの最盛期で、欧米諸国では当時から低金利であった円を調達して相対的に金利の高い外貨で運用して利ざやを稼ぐ、いわゆる円キャリートレードが盛んに行われていました。そのためサブプライム問題が顕在化してからは、このキャリートレードの「巻き戻し」で外貨が売られて円が買われるという流れが大きくなって円高外貨安になったという面もあるでしょう。

 それにしても国債の最高格付けを誇る(?)これら4カ国の通貨が、安全志向(リスクオフ)のこの時期、2~3段階も国債信用度の低い(?)国の通貨「円」に対してこれほど負けて(値を下げて)いる様子を見ると、「国債の高格付け国の通貨らしくないぞ!」と野次りたくなると同時に、「国債格付けって・・・?」と感じてしまうのは私だけではないでしょう。

続く

コメント
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