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中央銀行に頼る世界経済の行く末⑤

2012-07-01 00:01:18 | 世界共通

(前回からの続き)

 以上見てきたように、日米欧の3中銀そろい踏みの金融緩和策には、派手な報道の扱いの割にはそれぞれの経済に与える好影響を期待できないだろうと考えています。

 本来、量的緩和のような非伝統的な金融政策の目的は、低金利の資金を市場に供給することで企業の設備投資等を促して景気浮揚を図ろうとするものであったはずです。

 ところが上記のように、いずれの中銀の金融政策でもこうした意図は見受けられません。その理由は、おそらく日米欧経済のいずれもが「流動性の罠」と呼ばれる状態、つまり、金利が十分に低い水準にあるなか、さらに資金を市場に供給しても投資等を促すなどの景気刺激効果が期待できなくなっているため、ということでしょう。

 では、これら3中銀のしていることの本質は何かといえば、ムズカシイ理屈を抜きにすれば、「マネーのバラマキ」にほかなりません3中銀の思惑はそれぞれに違いますが、「ばらまいたマネーが自分たちの思うとおりに働いてほしい」という期待は同じです。

 しかし、これまでに書いたとおり、これらの「バラマキ大作戦」はとうにもうまくいかないだろうという気がします。

 それよりもその副作用のほうが危険ではないでしょうか。つまりインフレ(=通貨価値の下落)です。それも給与や賃金の上昇がともなわない「悪いインフレ」。

 金融緩和で市場に溢れたマネーが商品市場などにも大量に流れ込み、ガソリンや小麦などの生活必需品の価格を容赦なく上昇させるおそれが高まっています。一方で、国債価格の低下(利回り上昇)、実質的なマイナス金利の拡大などに歯止めがかからなくなり、最悪の場合、国債価格が暴落、金利が制御不能に陥ってハイパーインフレが発生するかもしれません。そうなってしまったら、ただでさえ緊縮財政等に起因するリセッションに苦しむ市民の生活が危機的な状態に落ち込む懸念があります。

 こうした事態は、とくに欧州で、具体的には債務不履行に陥ってユーロ離脱を余儀なくされる諸国では十分に発生の可能性があると考えています。そしてECBによるユーロ大増刷でベースマネーが拡大したユーロが円やドルに対して下落するため、残りのユーロ圏諸国でもインフレが激しくなることでしょう。

 さらにインフレの激化とともに金利が上昇し、多くの国々は自力での資金調達ができなくなって、ますます「最後の貸し手」ECBの金融緩和策に頼らざるを得なくなるでしょう。そしてECBが買い入れたこれらの諸国債等の多くがデフォルトとなって、ECBまでもが存亡の淵に立つのではないでしょうか。

 最終的に、ユーロ圏の破綻国の国債やデリバティブを大量に抱える欧州中核国、およびアメリカの大手金融機関が経営危機に陥るでしょう。その結果、欧米諸国の金融システムが機能不全を起こして、世界的な金融恐慌と厳しい景気後退が発生することは避けられないだろうと予測しています。

(続く)

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