ウェブで検索してみると、中国あたりでは米アップル社のiPhone4Sそっくりのスマートフォンが大量に出回っているようです。それもiPhone4S発売の直後から。しかもある意味でスゴイのは、それらの多くは、見た目や化粧箱だけではなく、使い勝手やアプリなどの機能も本家に引けを取らない上、値段のほうは本家よりもずっと安いこと。「まったく中国って国は・・・」と思うと同時に、「よくもまあこれほど本物に近いモノを短い時間で作れるものだ」と感心すらしてしまいます。
現在、世界各国でアップルと韓国サムスン電子がスマホ販売トップの座を競い合っています(2012年第一四半期の世界販売シェアはサムスン29.1%、アップル24.2%)。いくつかの国々では互いに特許侵害等の訴訟合戦を繰り広げるほどの過熱ぶり。日本企業もがんばってはいますが、わが国の市場を含め、世界シェア争いでは両社には遠く及ばないのが実情です。
一方で、つい数年前ほどまでは世界ナンバー1だったフィンランドのノキアが凋落(同8.2%)し、その間にも中国製品が安値を武器にアジアやアフリカなどの新興市場を中心にシェアを拡大するなど、スマホ市場は短い周期で旬のメーカーがめまぐるしく変動するマーケットとなっています。
ところで、そんなスマホ市場でサムスンとともにトップに君臨するアップルですが、この厳しいシェア争いをこれからも制していけるかどうかは不透明といえるでしょう。その理由は、今後、スマホは性能や価格による差別化がますます難しくなるものと予想されるためです。
スマホ市場では、サムスンはいうに及ばず、わが国や中国などのメーカーが次々に新製品を市場に投入してくるほか、最近はOS会社とみなされていたグーグルやマイクロソフトまで独自のタブレットを開発・発表するなど、競争がいよいよ熾烈となっていく気配が漂っています。
さらにいえば、冒頭で紹介した中国のコピーまがいの製品を見れば分かるとおり、スマホは材料さえ揃えられればいまやどこの誰でも作ることができてしまうほど、ある意味で新規参入が容易な製品となっています。こうした状況を見るにつけ、アップルに限らずどの会社にとってもスマホで稼ぐのはこれからは大変になりそうだな、と思わずにはいられません。
(続く)