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金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩④

2012-07-13 00:03:41 | 世界共通

(前回からの続き)

 そもそもアメリカは世界最大の経常収支赤字国(2011年は4700億ドルあまりの赤字)。1991年以降は一度も経常収支黒字になったことがなく、国内では過少貯蓄状態が続いています。そして財政赤字や対外純債務(2011年時点で約200兆円以上)も拡大の一途です。つまりアメリカはつねに外国から借金をしなければならない状態にあるということです。

 それでもドルや米国債が買われている(金利が下がっている)のは、やはりドルが基軸通貨であるためでしょう。そして最近の為替のドル高ユーロ安傾向で分かるとおり、世界第2の準備通貨であるユーロに対する信認が揺らぎ、ユーロからドルへのマネーシフトが起きていることも大きいと思います。

 しかし、いくらドルが基軸通貨とはいえ、これだけ大量にドルやドルの借金証書である米国債が刷られれば、ドルの価値や信頼性は薄らいでいかざるを得ません。最近の金(ゴールド)価格の高騰や、中国、ロシアなどの諸国が米国債の保有額を減らす一方で金準備を増やしているのもその表れといえます。

 こうした中、今後も外国の資金を自国に呼び込むしかないアメリカとしては、各国の「ドル離れ」を助長する財政赤字のこれ以上の拡大は何としても避けたいところでしょう。そしてアメリカ政府は来るべき金融機関への公的資金注入にともなう巨額の財政支出を念頭に置いているものと思われます。そのためアメリカは金融システム救済以外の用途で財政拡大を図ることができず、結果として低金利というせっかくのチャンスを景気対策に十分に活かすことができなくなっているのだろうと解釈しています。

 これまでに記してきたようなドイツやアメリカの情勢をみると、いかに現下の金融危機が両国経済の手かせ足かせとなっているかを実感します。欧米諸国はこの金融危機を完全に克服しない限り、新たな経済成長のステージには決して入ってはいけないでしょう。

 これに対して、バブル後の不良債権処理をほぼ終え、金融危機再発のおそれが遠のいたわが国は、低金利という借り入れに有利な環境を政策に活かす余地が大きいと思います。つまり、国債を発行して、経常黒字がもたらす自国の潤沢な貯蓄から資金を調達して公共投資を中心とした経済政策を展開するのです。こうした財政出動で景気を活性化して経済成長と税収の拡大を図るという需要創出策(=デフレ対策)の推進こそ、円高(外貨安)や長期金利低下というメッセージが指し示す政策の方向性だと思うのですが、いかかでしょう。

(「金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩」おわり)

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