世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

金融危機の手かせ足かせで政策が縛られるドイツとアメリカの苦悩①

2012-07-07 00:00:12 | 世界共通

 世界経済の減速感が漂う中、各国では景気浮揚に向けた経済政策の模索が続いているように感じられます。

 現在、日欧米の経済3極では、おもに中央銀行が主導する金融緩和への期待が各方面から高まっています。5日のECB(欧州中央銀行)の金融政策会合(政策金利を0.25%引き下げて0.75%にすることを決定)を見ても分かるとおり、最近の各中銀の金融政策会合はたいへん注目され、金融市場ばかりではなく、各国の政治家やマスコミ等までも、それらの決定事項に一喜一憂している印象を受けます。

 しかし、この金融緩和策を主軸とした中銀の金融政策は、先日も書いたような理由から効果が薄いうえ、逆にインフレなどの悪影響をもたらす懸念もあることから、個人的にはこれ以上の金融緩和には踏み込むべきではないと考えています。

 そこで金融政策に替わる景気刺激策として重要になってくるのが財政政策となります。ここでいう財政政策とは、バブル崩壊で多くの負債を抱えて投資や消費等を控える民間企業等に代わって、政府が財政支出を増やして公共投資などの需要創出を行おうというもの。

 当然ながら、この財政出動にはそのための資金が必要ですが、日欧米諸国のなかには、現在、この資金を集められない国と集められる国とがあります。

 まず資金を集められない国の代表格はいうまでもなく欧州のPIIGS諸国。ギリシャなどはすでに資金援助をEUやIMFなどから受けている立場なのでとても財政の拡大などはできません。スペインは自国の金融システム救済のための財政資金が足りず、「外国」(EU)に助けを求めるような有様です。

 では資金を集められる国はどこかといえば、日本、ドイツ、アメリカといった国々でしょう。具体的には現在、国債が買われている国々のことです。欧州のソブリン危機や世界経済の不透明感といったリスクオフモードの中で、安全資産として選好される日本国債、ドイツ国債、米国債にマネーが流入し、これらの価格が上昇する一方、利回り(長期金利)が低下してきています。7月6日時点の長期金利(新規発行10年物国債金利)は、日本0.80%、ドイツ1.33%、アメリカ1.56%と、わが国は2003年以来約9年ぶり、ドイツやアメリカは史上最低レベルとなっています。

 欧州のソブリン危機が深刻化するにつれて、ここしばらくは日独米国債に資金が流れ込む構図が続くものと予想されます。別な言い方をすれば、世界中の投資家が日独米政府に「お金を貸しますよ!」とセールスに来ているといった感じでしょうか。そのため日独米政府は、このような有利な環境の下で低金利の資金を調達して財政支出を拡大できる余地がありそうにみえます。以前ここにも書いたように、わが国はまさにこのような財政出動による公共投資を推進して内需を振興し、世界的なリセッションを乗り越えるべきだと思っています。

 ところが、わが国と同様の手が打てそうで実はそんな余裕がまったくないのがドイツアメリカです。これから本格化する金融危機に対し、90年代後半のわが国のように、金融システムを守るという名目で膨大な財政資金を金融機関に投入する必要に迫られそうだからです。

 このあたりのドイツとアメリカの事情について、次回以降、私見も交えて論じてみたいと思います。

(続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする