Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

この本数で商売にならないというのは

2024-04-25 21:59:50 | 交通
いわゆる「2024年問題」を奇貨に地方路線バスの撤退、縮小が加速しています。
JRバスもJR西日本管内で、西日本JRバスの園福線、中国JRバスの光線がこの3月末で廃止となりましたが、それなりに本数がある区間を一気に廃止というやり方はかなり荒っぽく、乗務員不足で大変、という理由が知れ渡っているうちに撤退してしまえ、という意図すら感じます。

それでも普段が空気輸送であればまだしも、それなりに乗っていたとしか言えない運行頻度だったわけで、それが消えるとなると代替便の確保も大変です。
乗務員不足で、というのであれば他社も同様であり、確保できるかは分からないけどあとはよろしく、では些か無責任すぎます。

光線に至っては平日は30往復以上あったわけで、鉄道とは並行しない区間、市街地の続き、ということで本数があったのが全滅です。
防長交通が一部引き受けましたが本数の維持は出来ず、結局既存の防長の路線も入れて4割程度(6割減)に抑えるのが精一杯でした。
この区間、山陽線が光-柳井で山側の田布施などを経由するのに対し、海側に岩国-周南の幹線道路であるR188(R2は岩徳線に沿ってさらに山側)が走り、室積、平生をカバーするバスが走っていましたが、普通便として光-室積を頻発してた中国JRバスと、柳井まで通す快速便の防長というラインナップが、都市型で採算が高い方の中国JRバスが撤退という事態でした。

JR系以外でも、大都市圏でもこうした大規模な廃止が問題になっていますが、広域で見たら他の交通機関がある、という説明で事実上撤退するケースが今のトレンドでしょうか。それでも路線権は維持したい、というスケベ根性があるのか、数本は残しているのも嫌らしいですね。地元や利用者に多大な迷惑をかけながら権利だけは握り込む、というのは許してはいけないでしょう。路線廃止、免許返上とすべきです。

もちろん公共交通が漫然と並行しているのは無駄もいいところですから、省けるところは省くべきです。その意味では無駄に駅間が長い鉄道は積極的に新駅を設置してバスはフィーダーとなる路線の維持に努めることがお互いwin-winになります。ただそうなると所要時間増や、場合によっては利用者増にもなるので、増発や優等列車新設といった対応が必要になります。そこは消極的に、新駅設置もしないで「並行しているから」では無責任です。

それにしても、JR駅から国道に沿って市役所や市内最大の事業所を経て市内近郊の集落までという路線で、毎時2本見当が確保されている路線が維持できないというのも運転手不足があるとはいえおかしな話です、
よほど経営、運営がおかしいというほうが腑に落ちる感じです。



モラルハザードをいかにして防ぐか

2024-04-25 21:49:53 | 交通
米国で2026年までに航空機の遅延にかかる「強制返金」ルールと、諸掛の透明化を義務化するそうです。
まあ航空業界の闇というか、乗客をはぐらかしての収益源ともいえる部分へメスを入れたことは評価しますし、日本でも最近目に余る部分ですので追随してほしいです。
ちなみに遅延時のルールは各国でも「公定」となっており、インドネシアでは遅延時間に応じて払い戻しに加え、食事の提供などの補償が明示されています。(4時間を超えるとお詫び金になる)なおこれは2015年の運輸大臣告示であり、公定です。

このニュースに「不可抗力はどうする」とか事業者無謬が相変わらず湧いてくるわけで、乗客の不利益がそんなに楽しいのか。人の不幸は蜜の味とは言いますが、被害者救済を蛇蝎のように嫌う風潮と言い、歪み切った妬みやっかみは積極的に排除しないと、社会が疲弊しますし社会正義が失われます。

それはさておき、遅延でこういう強制となるんですから、欠航は言わずもがなです。まあ空きがないという理由で数日後のフライトになることも多いとか実効性に問題はありますが、欠航したら払戻や振替は原則実施されるわけで、そこが曖昧だった遅延にもタガをはめるというのが今回です。上述のインドネシアのケースだと、振替か払戻&お詫び金になります。

FSCだと欠航や条件付き運航となった瞬間に、変更不可のチケットも含めて変更可能となり、料金の過剰が発生したら払戻、不足は徴収しないというルールになっています。それもあってか、LCCでも欠航にしないで大幅遅延で対応するケースも少なくないようですが、今回米国が打ち出したスタンダードで姑息な手段も通用しなくなります。

不可抗力のケースが悩ましいですが、正味の不可抗力と言えるケースは実は少ないわけで、航空会社の運用の都合で無関係なはずの路線で欠航や遅延が発生することまで「不可抗力」と出来るのか。広域運用しているのは航空会社の都合に過ぎないわけで、新千歳の雪で新千歳発羽田行きが欠航や遅延した場合は不可抗力を論じる余地はありますが、その先の運用となる羽田発沖縄行きが遅延、欠航した場合は「不可抗力」と言えるのか。それを認めたらモラルハザードを起きます。
そのあたりは鉄道(国鉄→JR)の「2時間遅れルール」は潔かったわけで、理由の如何にかかわらず料金を払い戻していました。だから有名な広域運用の「門ハイ」(門司鉄道管理局早岐客車区)の寝台車による特急「日本海」の運用とかで、青森県内大雪の影響で大阪発長崎行きの特急「あかつき」が遅延したら払い戻しの対象でした。往々にしてそういう時には予備車をかき集めて運行しますが、航空だってそうですよ。いかにLCCであってもモラルハザード状態でコストカットは許されません。

まあ欠航となるとそのほうが得というケースも出てくるので、そうしたモラルハザードを防止するために、欠航時には目的地到着が1日以内(未満)になるように振替便を提供する、という義務が必要でしょう。宿泊が必要な場合は宿泊場所も確保、提供すると。
定期運行をする公共交通であれば当然の対応であり、それが出来ないようであれば、「安いから」という理由で市場に残してはいけません。ツアーとか公共交通の枠外で存在することは妨げませんが、公共交通というのであれば、それが事業者の義務です。

そうそう、そうなったら無理をして運航するかもしれないから、という安全厨が湧いてくるでしょうが、安全とコストを天秤にかけた議論をしている段階で終わってますね。
安全とコストを天秤にかけるような事業者であれば、平素から安全リスクは高いですし、そういう事業者もいろいろ条件を決めてまた淘汰すべきでしょう。



能力と資格が問われる

2024-04-25 21:42:46 | 交通
JR北海道の285気動車に関する記事が出ていましたが、高性能化、速達化が挫折した当時のJR北海道の問題が矮小化されている筆致が批判されていますね。
そして車体傾斜装置を廃止した261系気動車を「改良」とか書かれては話になりません。

車両の高性能化に保線など地上側が付いていけなかった、というのは簡単ですが、本来はやるべきことは分かっているだけに、やるべきことをしていなかった、というだけの話です。さらにそこにデータ改竄などの隠蔽工作まであったわけで、いわば「高性能化、速達化をする能力、資格がない会社」という烙印を押された果ての話です。
JR宝塚線尼崎での事故直後のJR西日本も同じように批判されましたが、技術面で「無理」という感じの判定にはなっていないわけで、それだけにJR北海道の状況は深刻です。

振子どころか車体傾斜も使わず、最高速度も10~20㎞落としての運行となった結果は、札幌-函館で最速2時間59分が3時間33分と34分、率にして19%の所要時間増となっています。札幌-釧路では最速3時間32分が3時間57分と25分、率にして12%の増加。1分2分の短縮に必死になっているというのに、「北斗」では1988年3月改正での最速3時間29分(それまでは国鉄時代の1986年11月改正での3時間47分)、「おおぞら」は1997年3月改正での最速3時間42分(国鉄時代は1986年11月改正での4時間25分)というレコードを見れば、約30年の進化を総て吐き出したうえに、国鉄時代とどっこいの数字になっています。

まあそれでも絶頂期があっただけマシで、それすらなかった「オソーツク」、もとい、「オホーツク」は悲惨ですからね。
札幌から高速バスが北見まで9往復、そのうち6往復が網走行き、遠軽まで1往復、旭川から北見までの高速バスが3往復と、「オホーツク」2往復、週末中心に運転で旭川乗り換えとなる「大雪」2往復と旭川行き特快「きたみ」というラインナップの鉄道はバスの半分以下のフリークェンシーしか提供できていませんから。

別に「無理」はしていなかったのです。出来るはずの「やるべきこと」が出来ていなかったのです。それで「速達性」という最大の武器を封じたままで何がしたいのか。
札幌-旭川を1時間で走るだけの運営力があるのであれば、函館や釧路も昔のように早く着くはずですが。
そういうちぐはぐに加え、お遊び列車だけは懲りずに投入するようですが、51型客車改造の気動車を再改造するとのことですが、数年間店晒しになっていた車両ですよね、痛んでいないか心配です。現役当時に譲受して同様に改造してSL列車に充当したJR東日本では老朽化を理由に既に退役しているんですが、動いていて老朽化が進行するのであれば、動いていない、使っていない車両は厳しいはずですが。車体も足回りも「ほぼ新造」だとコスト高のロートルを抱えるだけですよ。どこぞの税金で電車ごっこの三セク鉄道と同じ轍を踏む感じです。