Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

あり得ない規制に声も上げないとは

2019-09-18 00:20:00 | 交通
先日免許の更新に行った際の講習で、横断歩道における歩行者保護を強調していました。
まあ杓子定規な話ですが、気になったのは、38条の解釈で、

車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。

とある1項本文につき、歩行者がいる場合は徐行義務と教えていることです。

徐行の定義は、2条1項20号で、

車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。

とあり、横断歩道で止まれるスピードとは明らかに違うのですが、実運用がそうだとしたら大変です。
「横断しようとする」も端折っており、横断歩道近辺に歩行者がいたら徐行というのです。

これ、真顔で守ったら交通は破綻します。前々から言ってますが、道交法の制度趣氏A一丁目一番地は、1条に規定されているとおり、

この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

でしょう。危険防止は最優先ですが、円滑は無視していいわけではないです。動かなければ究極の安全ですが、じゃあクルマは排除しましょう、というのでは、「かしこいクルマの使い方」と言いながらクルマの排除しか言わないクルマ排除の宗教でしかないモビリティマネジメントの発想と同じです。

一方で停止線での一時停止につき、首を出すな、車体が停止線を踏み越すな、と言ってるそばから、「でもはみ出たからと言ってまず取り締まりはしませんよ」と言ってのけるわけで、実はこのほうが死角から歩行者や自転車が現れて錯綜するケースが多いだけに、とんでもない「講習」です。

免許更新の講習は併合徴収で「悪名高い」安協が担当しているわけですが、安協も何とかとはさみは使いようで、実戦に即した安全教育をするなど存在意義を社会に認められる方向性があるのに、なぜかそうはしないんですよね。県内の死亡交通事故を紹介しながら、R464で4人が死亡、ここには北千葉道路という70㎞規制の道があって、と70㎞規制がさも悪いかのように吹き込むようなインチキ講習はお引き取り頂きたいですね。

そしてこの手の「ありえない規制」は本来ドライバーの圧力集団でもあるJAFが声を上げるべきジャンルですが、全然ですね。かつては道路特定財源の一般財源化という国家によるネコババ行為や、暫定税率や二重課税の問題に声を上げていたのに、ある時から全く声を上げない役立たずの集団に成り下がりました。



勝手運休の勝手判断

2019-09-18 00:18:00 | 交通
台風15号での「勝手運休」は運休入りも明けの予定も早すぎたと批評しましたが、事業者の勝手判断で決めることの弊害が明らかになった格好です。

社会インフラである鉄道への依存が特に高い首都圏においては、電車が無くなるとアナウンスすれば動きが止まり、動き出すとアナウンスすれば動きが再開します。今回もデパートなどが電車の運休を理由に早仕舞いしましたが、明らかに意思判断の基準が台風の進路ではなく交通になっています。

そうなると「勝手運休」の「勝手判断」が社会を振り回すわけです。交通事業者の判断次第で社会が止まる。社会は交通事業者にそこまで授権しているのか。判断基準は合理的でコンセンサスを得ているのか。いわゆる「生殺与奪の権」を交通事業者に与えることだという重要性の認識が、無邪気に称賛している面々に決定的に欠けています。

リードタイムが短いと対応が取りようがない、という問題も顕在化したわけで、特に今回のように月曜朝の「勝手運休」を決めるタイミングがどうあるべきか、という問題はかなり深刻です。
普通の週末であっても金曜日の午前中には意思決定と周知が必要、となると3日前です。特に夏台風であれば予報円もまだ定まらない状態で判断するしかないわけですし、7月と9月にあるハッピーマンデーが絡むと4日前の判断になります。

夏場は台風が南の海上にいる段階で週明けの機能停止が決定、というのがあるべき姿なのか。
安全をお題目に何かおかしい方向に社会を持って行っている気がしますね。反クルマの思想押し付けにも共通します。

逆に、台風の影響を受けにくいエリアとはいえ、西武鉄道は「勝手運休」をアナウンスしなかったのは、きちんと判断したからでしょう。当たり前の行動ではありますが。ストもしないしめったに止まらないから必ず出勤しないといけないとされる職掌の人が西武沿線に住むケースが多いのに意味があります。

これまで「勝手運休」が常態化していた関西ははっきり言えば「一地方」の「支店経済」ですが、今回のそれは行政、政治、経済の「首都」での対応がどうあるべきか、そのデザインができていない状態で交通事業者が先走ったわけです。金曜日の定時以降に週明けの「勝手運休」の可能性を判断して手配できるのか。あるいは金曜日の段階で週明けの要員を確保するのか。BCPとして週末に「交替勤務」を推奨する、ということなのか。

実際、金融機関なんかはそうやってるんでしょうね。台風のせいで決済ができませんでした、という寝言は通じませんから。米国がハリケーンが来たら非常事態宣言、と称賛していますが、じゃあモラトリアムかというとそうでないわけで、復旧を待つ人の群れを社畜だなんだとあざ笑う連中は、社会の仕組みもご存じないわけで、そんな意見を垂れ流すのは社会の迷惑です。

あとは交通事業者の「勝手運休」は直前直後に運休時間帯の乗客が上乗せで来るという意識が決定的に欠けているということ。今回評価しているJR東海の東海道新幹線に対する対応は、運休間際の列車は普通車全車自由席にしたり、臨時停車をして輸送力の確保や柔軟な輸送パターンの構築をすることで、早期の運転終了を果たす体制になっていたわけです。

ところがそれ以外の会社はなんですか?運転終了が見えてくると殺到する乗客を捌く気もなく間引き運転です。運転再開だってそう。各駅に復旧時間とともに動き出す編成をつける気もないから、当然積み残すわけで、それが遅延を生んで収拾がつかない、という毎度のパターンです。

終了前後に集中するのですから、可能な限りの要員を手配して、嵐が去ったら一斉再開の本数を確保できる要員にもする、という発想がないわけです。保線要員も待機させる。今の体制は手なりで漫然と止めているように見えますね。

足下の「勝手運休」は、ただ交通事業者が負荷や負担を利用者や社会に押し付けているだけです。
それを賛美している面々と「事業者無謬」の言動がシンクロするのもさもありなんです。