Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

まさかの発言が蹴倒した梯子

2019-09-03 21:16:00 | 交通
リニア建設で静岡県知事がゴネている、地域エゴだ、国益を損ねる、JR東海がかわいそう、という静岡県と県知事批判を振りまく手合いがネットでよく目にしますが、これではいそうですかと合意しろとは到底言えない事態です。

建設を担当するJR東海の執行役員が建設中に発生する湧水は大井川に戻せない、と発言し、JR東海の社長は湧水全量を戻すという発言は、話が前に進まないので問題解決のための方策だった、と発言したわけです。

これはテーブルを蹴って帰ってきてもいい話であり、陸上イージスに関する秋田県での防衛省の対応に匹敵する問題であり、今後JR東海の案件で地元の理解を得ることは極めて困難になったと断言してもいい事態です。

いやいや、工事中の湧水に関しては終始一貫して流出が発生するといっている、と擁護の連中が湧いてきているようですが、じゃあ社長の「方策」は何なのか。社長は工事中は除くとは一言も言っていないわけで、工事中にも発生することを認識していながら限定していない発言は重いです。

そもそも「話を前に進ませるため」で、具体的対応はこれから考えていくという極めていい加減な約束だったのに、今回の発言は文脈上「方策」を「嘘も方便」の趣獅ノ採られて当然であり、それが社長の発言ですから、これは最悪です。

そもそも自然環境保護もさることながら、大井川の水利の問題が大きな問題としてあるわけです。
湧水の問題は氷山の一角であり、大井川など静岡県内の大河の上流域を貫通するリニアによってその水利に変化が生じることへの懸念は県にとっての重大関心事です。そしてそこには大井川の上流域を市域にしながら水利面では依存度が低い静岡市が独走していて、擁護派が静岡市が協調姿勢なのに、と焚きつける構造もあるわけです。

完成後には全量戻す、と百歩譲っても、じゃあどうやって恒久的対策をとるのか、という部分で明確な回答をしているのか。その状態で信用しろというほうが無理でしょう。

静岡県は戦前、丹那トンネルの建設工事が豊富な地下水脈を切断したことによる大量の出水で難航した影響として、地上の丹那盆地では豊富な湧水を利用した稲作が渇水で壊滅し、今につながる酪農に転換せざるを得なくなったという、トンネル建設における水利の重大な影響を体験しています。

今回の大井川は丹那盆地の比ではない影響範囲があるわけです。そしてJRと水利という点では、JR東日本による信濃川発電所の不正取水事件を忘れたのでしょうか。「方便」の趣獅ノ等しい「方策」で建設を強行して発生した影響の責任は、誰も庇えません。いわんやネットで騒ぐだけの擁護者は毎秒1リットルの補填すらできないでしょう。




コンプライアンスの欠片もない

2019-09-03 21:14:00 | 時事
ふるさと納税で横紙破りということで2019年度の適用除外とされた泉佐野市が不服を訴えていた問題で、総務省の第三者機関が総務省の対応は法律違反の恐れと見直しを要請しました。

まあ公が設置した「第三者機関」ほどあてにならないとか有害なものはないわけで、いじめ問題で教委が設置した「第三者機関」が隠蔽のお先棒を担ぎ犠牲者、被害者のセカンドレイプにいそしむ姿は日常茶飯事ですが、今回も全く木も見ないで森も見ない、有害な結論を出しています。

そもそもふるさと納税の制度自体がいい加減なんですよ。法令の手当は税法の控除に関する箇所だけ。ふるさと納税をした額を納税額から2000円の定額分を除き控除できる。ということだけです。
返礼品が寄付額の3割を目安にといった具体的な「ルール」は元から法令でカバーするものという認識はないですし、本来は法令での定義に馴染みません。

じゃあ何をやってもいい、という自治体が現れたのが今回の問題の発端ですが、本来であればここで総務省と国税庁の連名で縛り付けるべきだったことは確かです。
ただそうでないといけないかというとそうではないわけで、ずっと指摘しているとおり、今回の泉佐野市のように私的な利得を得るための「寄付」は税額控除を受ける要件を満たしていない、として税額控除を否認することは現行でも可能なはずです。返礼品についても一時所得扱いを徹底して50万円の基礎控除を超過する人からは容赦無く取り立てるべきです。

泉佐野市の場合、300億円超の欲ボケが群がったわけです。本来はふるさと納税全体を否認すべきですが、少なくとも泉佐野市の場合はガイドライン破り、違反行為と知りつつ群がった故意、悪意の連中であり、情け容赦は無用です。

では自治体に対する対応は、というと、2018年4月から適用のガイドラインがあるでしょう。
法的拘束力がない、とうそぶく悪徳自治体と第三者機関の論理だと、国家による統制が意味をなさなくなるわけで、我が国の統治体制の否定につながる勧告をする権利はないとして無視すべきです。

もしガイドライン如きでは、というのであれば、独自財源で自由にできる自治体を除き、国が箸の上げ下ろしまで定義して強制するガチガチの統制を法令で縛るしかないわけで、地方自治など十年早いわ、という状態にしないと、中央集権国家である我が国の統治体制が有効に機能しなくなります。

泉佐野市は悪徳自治体のシンボルですが、ガイドラインに対する面従腹背で「裏サイト」を用意して金銭等価物の返礼品をこっそり提供した静岡県小山町のようなケースは泉佐野市がかわいく見えるほどのもはや犯罪というしかないわけで、制度からの永久追放はもちろん、交付税の配分も停止すべき存在です。

書いてないから、法令じゃないから、という行動を許していたら、ルールもモラルもなくなりますね。
今回は事後法ではなくガイドラインが出ていたんです。守らない時の罰則がないから適用除外はない、という言い逃れをいかにして排除するかです。

今回のこれ、まさに「コンプライアンス」意識を問うものです。
「コンプライアンス」を「法令順守」と考えていたら、泉佐野市長と同レベルです。そもそも「法令順守」であったらことさらに言い募る必要はないのです。法令は順守して当然ですから。

じゃあなぜ「コンプライアンス」が問われるのか。それは「コンプライアンス」⊃「法令順守」だからです。
企業倫理、社会のルール、そうした社会の常識を守っているか、インテグリティを求められる段階なんですが、第三者機関も含めてその意識が全くありませんね。ガイドラインが存在する以上、順守義務はあるんですよ。明文化された罰則がないだけであり、そこでインテグリティが欠如している場合は恩恵から排除される。当然でしょう。私企業ですらそれを強く意識しないと立ち行かないというのに、自治体という公共が全く意識がない。恐るべき無神経でしょう。