Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

コース選定には訳がある

2014-07-07 00:58:00 | 交通
拠点間を結ぶ交通機関は必ずしも最短距離を結ぶわけではなく、一件不可解に見えるコースを取ることもあります。しかしそれは理由を聞けば納得するわけで、そのコース選択に合理性があるからです。

よくあるケースとしては、需要を拾うため、というもの。ローカルバスで幹線道路を走らずに裏道、旧道に点在する集落を縫って走るのはその典型で、時短効果よりもバスへのアクセスが悪くなって乗らなくなることの方が問題という当たり前の認識です。

また鉄道のように勾配による影響が少ないことから(自動車が通れる水準であれば極端な差はつかない)、バスが通るのがやっとというような道路に分け入ることもあります。これは迂回というよりも短絡目的の事が多く、あわせて需要を拾うために無理なく無駄なくコースを引いている時に発生するようです。

高速バスにおいてもそういうケースはあるわけで、松江道の全通で消えましたが、広島&ト子の高速バスはその典型でした。
つまり、高速道路だけで行ける両都市ですが、中国道から米子道だと岡山県に大きく入った落合JCT経由となり三角形の二辺を迂回するため、広島発だと中国道を庄原ICで降りてしまい、R183などを経由して一般道だけで米子に向かっていました。(しかも当初は落合JCT~米子道経由の設定があったのに止めた)

大都市近郊だと神姫バスの西脇急行でしょうか。三木から第二神明玉津ICに出て、第二神明、阪神高速経由で三ノ宮に向かう系統がありましたが、これもショートカットになる県道を使った御坂経由で箕谷に出て、新神戸TNを経由するようになっていますが、衝原ダム湖畔の曲がりくねった道を通るほうが近くて信頼性があるという判断です。

一方でちょっとでも高速道路を使えば速い、という判断であれば高速を使います。神姫バスの恵比須快速は神鉄粟生線沿線から箕谷に向かうルートで、藍那*・谷の1区間だけ阪高北神戸線を通りますが(新神戸TNの阪高編入まではなんとも贅沢な利用法でした)、藍那ランプから西鈴蘭台まで出て4車線道路でひよどり台や箕谷に出るよりも、同エリアで集客はしていないので、わずか1区間に高速料金を払ってでも時短効果が高い、という判断でした。
(ちなみに恵比須快速は西神道の神戸西ICの真ん前を通りますが、藍那までの間で布施畑IC・JCT経由にしないのは、県道経由がショートカットだからです)

このようにバス会社は合理的理由を持って経路を選択しており、そこに何の不思議もありません。まあ強いて言えば誰もが不思議に思うケースがあるとすれば、それは路線権が絡むケースであり、確かに理不尽なコース設定になる事が多いですが、それは一目瞭然という事が大半です。


バスと鉄道の微妙なバランス

2014-07-07 00:57:00 | 交通
サンデン交通の下関℃R口線について言及したところ、バスのメインターゲットは普通列車より高くても直通などのメリットを総合的に勘案する、という指摘を頂きました。
確かにその傾向はありますが、新山口乗り換えというハンデがある鉄道に軍配が上がっている現実とどう折り合いをつけるのかを検証してみましょう。

そもそも下関は関門海峡の経済圏で、山口とを結ぶ意義に乏しい、と言ってしまうと実も蓋もないですが、行政上の中心である山口との行き来となると業務流動が専らとなり、ならば時間優先で新幹線利用も辞さない、となるのが見えてきます。

それだけではなんですので、同じ中国地方ということで広島を中心とする動向と比較してみると、実は同じ傾向が見えてきます。

広島から東方向、尾道、福山への高速バスを見ると、在来線普通列車とほぼ同等の所要時間です。電車は直通もありますが、糸崎での乗り換えも多く、一方で新幹線を使うと高速バスの所要時間から見たら「誤差」のようなレベルであり(福山まで23分。バスは1時間45分)、運賃料金の格差を無視できるメリットが存在します。

この方面の特徴は運賃こそ鉄道の普通乗車券より260~410円高いですが、回数券などを使うとほぼ同等に設定されていること。また広島では中心街のバスセンター発着となり、鉄道は広島駅から紙屋町や八丁堀までの移動時間、コストがかかることがあります。

西方向では徳山への高速バスを見ると、こちらはまず在来線よりもかなり速いです。これは海岸に沿って柳井を経由する山陽線に対し、内陸を短絡する山陽道の短絡効果ですが、鉄道が2時間程度かかるところを1時間40分台で走りますし、かつセンター発着のメリットもあります。
運賃は350円高いですが回数券で同等になるように設定されており、21分で走る新幹線と棲み分ける格好です。

まあ「バスどころ」の広島だから、と言うかもしれませんが、実はこうした構図に持ち込めなかったバスは苦戦しているのです。

上記の尾道へのバスも、尾道単独では勝負にならず、因島行きバスが尾道市内を経由することでカバーしています。(福山西ICまで行って尾道大橋に向かうと手戻りになるので、尾道ICから尾道市内経由は妥当なルートです)
これは新幹線利用の場合、広島℃O原間利用だと特定特急券になり価格競争力に優れている事が大きく、その特定特急券区間でまともに競合した三原への高速バスは既に撤退しています。

ちなみに三原線は山陽道が山間部を通る事もあり、本郷ICを利用するため時間もかかり、かつ広島東ICから広島駅経由でセンターというルートも災いして、広島駅までの段階で普通電車より15分遅い1時間半で運賃はほぼ同等。新幹線は東広島での退避がデフォでもわずか28分では勝負になりませんでした。ですからまず業務流動目当ての平日便が削減され、土休日運行に縮小し、廃止になったのです。

ひるがえって下関℃R口線ですが、新下関が使いづらい、新山口で必ず乗り換え、とはいえ、新下関$V山口間が特定特急券区間というのが厳しいわけです。
区間利用に活路を見出すとしても、高速道の本線BSでは市街地とのアクセスが必要であり、存在が中途半端でした。
サンデン交通の場合、鉄道に並行するような感じで、下関から小月、宇部(新川)へと一般道経由のバスが毎時1本(小月までは毎時3~5本)あるわけですが、鉄道の駅間が長いケースでは、こうした大時代的なバスもまだまだ存在意義があるわけで、逆に中途半端に利用しづらい高速バスが先に淘汰されたのでしょう。