Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

27年前の事情を抜きにした議論

2014-06-06 01:17:00 | 交通
クルーズトレインが各社単位でしか運行されない、という批判をしましたが、JR各社が会社またぎの運行を取り止める傾向にあり、サービスや営業面でも各社独自の動きを見せています。

利用者にとっては不便な話ですが、「社会派」諸氏にとってはまたぞろ視点が違うようで、「会社が違うのだから当然」と、批判者が馬鹿か何かのように批判しているわけです。

秀逸と言うか噴飯なのは、JR各社のサービスが違うのはケシカラン、というのは、同じコンビニなのに内容やサービスが違うのを批判しているようなもの、という批評で、まあ似て非なる事例を持ち出してまでの正当化というか会社擁護もご苦労様と言いたいです。

まあそういう人たちを単純に批判も出来ないわけで、国鉄の分割民営化から27年が経ち、物心付いた時に国鉄が無かった人が社会の中堅層を占める時代ですから、全国1社の鉄道事業体があったことを前提にした批判が理解できないのも止むなしでしょう。

しかし、だからと言って現状を無条件で追認は出来ません。
そもそも分割民営化で各社別になったのだから、というのであれば、その際の付帯決議など関連法の「精神」を忘れたつまみ食いでは議論になりません。

全国1社から旅客鉄道6社(と貨物鉄道)になることで、サービスが多様化することは期待されていましたが、てんでばらばらになることは期待されていません。会社またがり列車の廃止や会社境界での分断への懸念については政府が当時どう説明していたか。そこに政府と国民のコンセンサスは確かに存在していたのですが、そこを都合よく解釈して、てんでばらばらでもいい、とするのは乱暴に過ぎますね。

ちなみに公共インフラ企業は地域ごとに独占状態になっているわけですが、基本的にはエリアを跨いでの利用や、2以上の企業を同時に利用する、と言うことはないわけで、JRに見られる問題は存在しないので、引き合いに出すことは失当です。

一方で交通の世界はエリア跨ぎの利用があるわけですが、そもそも会社ごとの多様性といっても、それで利用する交通機関を選ぶわけではありません。
そしてエリアを跨いだ際にサービス内容が変わるわけで、それは利便性といっていいのか、てんでばらばらなのか、評価が分かれます。

それでも高速道路会社はインフラを利用者が利用する、と言う形態であるがゆえに、鉄道会社のように事業者の都合で分断ダイヤを設定する、と言うようなことがないだけ幸いです。
鉄道会社のやっていることを高速道路会社に擬えれば、圏央道のあきる野ICで連続走行が出来ずにいったん料金所を通過させられる、とか、あきる野ICを越えてのETC利用が出来ない、とか、ある高速道路会社ではハウスカードでないとETCが使えない、とか、そういう「縛り」があるのです。

元は全国1社だったものを政策上分割した、と言う経緯を考えれば、多様性はあっても、基本となる部分での相違はどこまで許されるのか。その論点を無視した議論は、利用者目線から遠く離れたものであり、誰がための議論なのか、ということになります。