Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

ジャーナル8月号

2010-07-16 01:45:00 | 書評
延び延びになっていましたが、8月号の書評です。

特集は関東、関西の通勤電車事情といいつつ、関東のメインは房総ローカルで、後は新快速と嵯峨野線。口さがない向きからはまた新快速かよ、と言う大合唱が聞こえています。

房総ローカルは「新車」209系の投入とそれによる113系、221系の退役を控えてのウォッチングですが、地元千葉ですが、実はマイナーであまり取り上げられないエリアでもあるだけに新鮮です。
まあ生粋の通勤型による統一を何とか評価しようと言う思いが痛いほど感じられますが、その実態と合わせると、8連や10連と言った編成増強で対応すればいたずらに座席数を減らした通勤型での統一は必ずしも必要ではないのでは、という本質的な疑問がぬぐえません。

関西の特集は手垢が付き過ぎ、と言いつつも、嵯峨野線はお初ですから評価できます。
新快速のほうはもういい加減に、と言う感は否めないマンネリ企画ですね。ただ評価できるのはこの一文。私鉄との競合、比較でなく、まず新快速ありきで考える層が増えたということ。私鉄との競合というそれこそ手垢がついた分析が実はピント外れではと言う投げかけであり、それが実態に一番近いというのは私も感じるだけに、そこはある意味ブレイクスルーが見られます。

「各駅停車」は京浜東北線。灯台もと暗しのような好企画ですが、大森を取り上げて、「汽笛一声志ん橋」の時代からの駅と言うところまで言及するのなら、最近まで東海道線にホームの跡があったという歴史への言及が欲しいですね。

土佐電の記事は小品ながらうまくまとまってます。高知つながりなのか続く中村駅の記事は、地方駅の改修と言うマイナーな事象ですが、その意義と効果をうまく伝えています。

ローカル線特集は伊勢鉄道。ローカル線かいな、と言いたくなるような現状ですが、そうした二面性がテーマであることを上手に捌いています。

続く高速新料金と公共交通については一転して言いたいことがぼやけている、というか、初めに鉄道ありき、公共交通ありきで組み立ててしまった無理が目立つ論文です。突き詰めれば交通機関の維持のために通行料金の維持が必要、と言ってるようなものであり、手段と目的のバランスが著しく手段側に偏ってしまっており、交通は何のためにあるのか、と言う本質を考えると首を傾げざるを得ません。
最近では佐藤氏がアカデミズム系の記事を一手に担っている感がありますが、はっきり言ってレベルの低さが気になります。

そして鉄道の町の記憶は糸崎。三原に親戚が多く、糸崎も少なからぬ利用をしていて縁浅からぬ駅だけに、今回の起用には驚きました。
結論から言うとよく見ていますね。浜吉に重工三原の機関車、ホームの天ぷらうどん(廃業)、さらに漁港とタコにこれは隣駅ですが三原城。感心したのは糸碕神社をきちんと「碕」と書いていること。ネットの記事は総じて「崎」ですから、これはいかないと気がつかない類です。


(糸崎駅停車中の本線)

ただ、町名が「いとさき」と濁らない、としたのはちょっと勇み足。数年前の住居表示で「いとさき」となる前は「いとざきちょう」でした。小学校も「いとざきしょうがっこう」ですし。

あとは町の分断の話が出てましたが、もともと漁港と鉄道(の官舎)、重工関係(の社宅など)と住み分けていた町ですから、それぞれでまとまっていたのです。
そして昔日の栄光を語るのであれば、急行が停車していたこと、さらには特急「はやぶさ」が下りが3時半すぎ、上りは23時半過ぎに停車していたことなんかにも言及して欲しかった、というか、「はやぶさ」停車の理由を知りたかったですね。子供のころからの疑問でしたし。

駅周囲のネタが少ないのは残念と言うか、これは町内会長さんの昔話にもある通り、20年くらい前までは駅北側のR2の1本線路寄りの通り(旧西国街道)は昔をしのばせる商人宿が並んでいて風情があったのですが(木造3階建ての旅館もあった)、軒並み転廃業してあとかたも無くなってしまったような経緯もあり、前の佐々と同じく「遅すぎた訪問」でもあります。


(三原城ならこのアングル。天守跡をまたぐ新幹線高架)

岡山支社と広島支社の境界の話ですが、記事にあるデメリットもありますが、備後エリアとして、尾三地区として尾道や福山との結びつきが強いのと同時に、市内移動の需要もあるわけで、糸崎が運転拠点であるがゆえに、広島・呉方面から糸崎、岡山方面から三原と言う運転系統になることで、三原℃・閧フ運転本数が多いのが利便性を高めているという一面もあります。

というわけで今月は糸崎で楽しませてもらいました(笑)



羊頭狗肉

2010-07-16 00:41:00 | ノンジャンル
最近は経済紙のみならず一般紙、さらには電車の中吊りでも金融商品関係の宣伝を目にします。
そうした金融商品を扱う会社は総じて「●●証券」と名乗っていますが、その昔はそれこそ株や債券を扱う会社が名乗っていた商号であり、先物業者は名乗れなかったのですが、証取法が金商法に変わったことで、かつては「●●フューチャーズ」とか名乗っていた会社が「証券会社」を名乗っています。
まあその昔はそれこそ「証券会社」でも胡散臭いイメージが付きまとっていたのに、「財テク」「マネーゲーム」と一般家庭や普段の生活に金融商品が上がり込んできた昨今、「証券会社」と言う名称に信用力があるようになったということでしょうか。

さて、こうした先物業者の「証券会社」は派手な宣伝で世間の耳目を集めているわけですが、最近電車の中吊りで目に付いたのが、「年利15%相当額キャッシュバック」の大宣伝をしていた為替先物業者です。

しかし年利15%相当額とはえらく太っ腹だな、と思ってよく見ると、なんか計算式が変です。
元本に15%を鰍ッて、なぜか2/12としており、それでは2ヶ月分ですから年間利回りにすれば2.5%にしかなりません。

彼の会社のサイトを見ると、要は2ヶ月の平残に対して年利15%相当、ということで、まあ2ヶ月定期として考えたらそれでも太いですが、5回取引が必要とあるわけで、そこで差損益が発生します。

先物業者らしい羊頭狗肉だな、と妙な関心をしてしまったわけですが、飛びつく人が多かったと見えて、このキャンペーンの申込期間を2週間短縮しますと言うお断りの広告も出ているじゃないですか。そうなるときちんと理解して飛びついたのかどうか、気になりますが。

まあこの手の「年利相当」キャンペーンは先物業者のような胡散臭い業者だから、と言うわけでもないようで、れっきとした銀行業でもやってるわけです。
要は「円定期利率優遇」といったよく見るアレですが、注意書きをよく見ると3ヶ月定期初回申し込みのみ、と言うような感じで、優遇金利がつくのは最初の数ヶ月のみ、となっているのです。

結局上で書いた先物業者と変わるところが無いわけで、大書きした金利にX/12を鰍ッたのが実際の利回りです。
こうした「釣り方」はこの業界の流儀かもしれませんが、なんだかなぁ、と感じざるを得ませんね。