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Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

汗をかかない手合いが悪しき前例を作った

2025-08-27 20:41:20 | 時事
無責任な「ネット世論」が寄ってたかって我が国外交を歪めたという悪しき先例になりましたね。
さらに悪いことに、少なくともこの4ヶ国に対して日本で歓迎されていないという印象を強く与えてしまいました。なにせナイジェリアはHIV大国だから性にだらしない国民が大量にやってくるとか、誹謗中傷にも程があるというレベル。いや、外交問題になってもおかしくないですし、当然この騒動を注視している中国がそれを利用してますます囲い込むでしょう。

ビザや移民の問題ですが、本当のところは一定の移住、定住を目論んでいるでしょう。技能研修生という名の奴隷の如き単純労働者ではなく、エリート層の招致ですよ。なんだかんだと言って住みづらい印象をなくし、家族ぐるみで日本ファンを増やすという戦略です。当然国に帰れば指導者層ですからね、それが日本びいきなのか中国びいきかでは将来は天と地ほどの差になります。

今回騒いでいる連中は、各国を単純に「親日国」とか言っていますが、そうであり続けるためにはどうしたらいいのか。
来てくれるな、怪しげな連中が来る、とか言いたい放題では、よしんば来たとしてもバイアスがかかった状態で嫌々ですから、帰国しても日本を顧みるかどうか。是々非々で付き合ってくれればラッキーというレベルになります。

なお、坂道を転げ落ちている日本にまともな人材が来なくなるわけで、それはブルーカラーでも同じです。ドルベースというか、母国通貨ベースでも日本以外に出稼ぎに行った方が儲かりますから。ちなみにホワイトカラーは現地法人が日本並みの賃金でも集められない時代になっています。それくらい日本はいろいろな面で安い国になりました。
そうなると本国でも食い詰めているレベルの人材、単純労働者としても相当厳しい人材しか来ないわけで、そうなると残念ながら治安などの問題は悪化します。同時に日本人も余裕がなくなっている状態では当然治安などあらゆる面が悪化するでしょうね。それこそ余裕がなかった戦後すぐとか、置き引き空き巣から殺人まで、普遍的に発生していましたよ。日本人の犯行として。

まあ今回寄ってたかって批判した人たちは、じゃあ海外との交流も何もなく我が国だけでやっていけると言うのであれば、まず自分たちから第一次産業をはじめとする単純労働に低賃金で就労させるべきでしょう。あとは介護とか実質肉体労働の現場も。そうそう、海外からの介護人材はおおむね好評ですが、日本人は陰湿に危害を加えるとかいろいろありますよね。介護ではなく障害者施設ですが前代未聞の大量殺人もありましたし。



見る機会がなければ興味を持つこともない

2025-08-26 20:47:10 | 時事
2026年のWBCがネット配信の独占中継となったことが波紋を広げています。
東京開催分は日本側で新聞社(地上波放送局)も共催ですが、「元締」が独自に契約したそうです。これが共催関係における何らかの契約違反でないことは、新聞社のコメントを読めばわかる話であり、放映権について日本側は何らの権利も有していない、コンテンツの販売先に過ぎないということです。実際新聞社側は東京開催での独自放映の可能性に言及していません。それどころか報道目的での映像使用はできる、と案内しているわけで、裏を返せばスポーツニュースとしての配信しかできないということです。静止画で結果だけ報じるというような最悪の事態は免れてはいます。

有料化は当然、という声も上がっていますが、カネを払ってでもプロ野球選手の日本代表を見たい、という人がどれだけいるか。手続きがあり、技術的な作業があり、という煩雑さが代金のほかに加わりますが、そこまでして見るかです。
NPBは既にスタジアムでの集客が厳しいわけで、真夏でもデーゲーム開催が増えたのも観客にとって時間的制約が厳しいナイトゲームに積極的に観戦したいという人が減少したからです。

それでも地上波やNHKの衛星放送でNPBやJリーグは放送されるからまだ興味を持つ人のエントランスが存在しますが、基本を有料放送にしてしまうとどうなるか。ラグビーが悪い意味でのお手本といえます。2015年W杯の南ア相手のジャイアントキリング、日本開催の2019年W杯での決勝トーナメント(8強)進出の快進撃と歴史に残る海峡で盛り上がりましたが一時のものに終わったのも、せっかく興味を示した「ライト」「にわか」がそれっきりになったからです。だって一番の接点となるはずの中継が地上波や衛星でないのですから。

有料だってリーズナブル、と工作員的な発言が出てきますが、連年の大幅値上げをかました専門局が批判されましたよね。そういうニュースは流れてきますから、契約していると後々大変、という印象を思っているはずです。お目当てのゲームが終われば即解約、という手もありますが、そういう浅ましい手段は心情的に馴染みません。

なおラグビーはサッカーのように地域密着型で裾野の広いリーグ体系を目指し、トップリーグからリーグワンに変わりましたが、その移行がコロナ禍の中という外的要因が厳しかったとはいえ、Jリーグのように下位リーグまで地域で推すというような動きになっているとは到底言えません。専門局に独占中継させることで目先の収益は確保できていますが、「何をやっているのか」という社会への露出がないわけで、各局の定時ニュースでは試合結果すら触れてもらえません。J1は出ているというのに。

プロスポーツであれば当然「営利」として成立することが前提であり、Jリーグでもクラブの経営状態が問われます。
ところがラグビーは完全プロ化を見送ったように、もともと基盤が脆弱というのに、裾野を広げるどころか狭めています。
この問題が顕在化したのがNECグリーンロケッツ東葛の「退会」発表でしょう。企業スポーツとしての効果も見込めなくなった、そしてそれはプロスポーツとして成立していないということですから。

今回のWBCの問題は「明日は我が身」でしょう。コンテンツはタダではない、としたり顔でいう人も多いですが、ネット配信にしても通信料などの負担が前提であり、そのうえでさらに払うに足るコンテンツなのか。地上波が培ったスポンサー制はその負担感どころか負担もなくす優秀な制度ですし、さらには悪評高いですがNHKの受信料制度は放送そのものに包括的に支払う形態をとることで、個別のコンテンツに関しては対価(価値)を意識しないで見ることができます。

そうした視聴がエントランスとなって興味を持ち、スタジアムに足を運び、有料放送と契約して地上波などでは対応できないマイナーなカードを見る、という発展につながるのですが、それを断ち切ると何が起きるのか。
日本においてはメジャーリーグですら大谷絡みはお腹いっぱい、という人が少なくなく、さらに大谷など日本人が出ない試合まで見ようとする人も極めて限定的です。スタジアムが大入り満員で札止めという時代は遠いかなたです。高校野球だってメディアが煽ってもじゃあTVにかじりついている、甲子園に見に行く、という人は明らかに減ってますからね。阪神電車に乗ればそれを肌で感じます。

逆に競技人口自体は減少の一途のマイナスポーツで、前近代的かつ異形の世界でありながら一定のファンが存在し、話題にもなる、という大相撲があるわけです。NHKが地上波で中継を続けているという成果ですよね。それを頼りにライトなファンを増やそうとミーハー企画を打ち出したり、ネット配信も行っていますが、NHK中継との併存を守っています。独占にすれば実入りが多いでしょうが、地上波との相乗効果の方が高いという判断でしょう。実に半世紀以上前に導入されたビデオ判定とか、まさかのアングルの吊り屋根カメラとか、前近代的に見えて意外と柔軟ですし、金儲けがうまいです。

そうそう、他の格闘技はコアなファンは多いとはいえ、タコツボ化しているわけです。試合は現地に行くか有料配信ですし。ですからとっかかりもないわけで、世間の話題になる、といったらそれこそ世界チャンピオンが出るとか、リング禍が発生するという時くらいです。地方ネタで町おこしの一環でローカル線車内でプロレス、というようなケースも報じられる、という程度です。

全くの余談ですが、そういう「露出」が大事なのはスポーツだけではありません。1980年代以降、TVで漫才をはじめとする演芸が全国的に流れたことで、見るだけでなく芸人を志向する人が増えてのちの「第〇世代」というような芸人層の拡大に寄与しました。そして伝統芸能の一角ともいえる落語も、「笑点」が地味に放送を続けることで「落語家」という存在との接点を世間に持ち続けることが出来ています。



だから斜陽が止まらない

2025-08-26 20:45:05 | 時事
アフリカ開発会議が横浜で開催されていました。G7とか先進国の行事だと我も我もと自治体が名乗りを上げ、報道も熱が入りますが、間歇的な報道でメディア的には重要視されていません。それが国民のレベルといえばそれまでですが、奇しくも中国の「一帯一路」が初期のインフラと「債務のワナ」から資源開発に軸足を移して再展開しているという記事がありました。その舞台は「現代のシルクロード」というよりもアフリカ諸国がターゲットであり、古くは完成から間もなく半世紀、構想からは実に60年となる「タンザン鉄道」に遡るアフリカへの一石を見るに、日本外交の拙さ、国民意識の低さは目を覆います。

今回の会議でJICAがアフリカ4か国との「ホームタウン構想」を打ち出しましたが、排他主義者やその国政政党などが「地方をアフリカに売る」と叫んでいます。もちろん現地メディアがそう取られてもおかしくない報道をしているわけですが、普通に考えたらジョークの域でもあり、それを真顔に取って批判するというのは相手国に対しても失礼でしょう。国政政党が焚きつけているのですから。

そういうデマの流布に当該自治体も躍起になって否定のコメントを発表していますが、デマの流布で収拾がつかなくなっているとはいえ、あの内容では各国との交流は御遠慮したい、という本音が滲み出ている市もあるわけで、結局はアフリカなんて嫌、というところです。しかしそれが「先進国」であればその地方を支配することも可能な実力があるのですが、先進国(欧米豪の白人国家)であれば「おらが街が〇〇になる」と歓迎ムードになるでしょうし。

これで中国との経済競争など片腹痛いわけで、もはや負けるべくして負ける状態でしょう。経済安保とか言ってもそんな下心というか本音がむき出しで誰が協力するのか。
排外主義者が「山形県長井市をタンザニアに捧げた」と騒いでいますが、これではタンザン鉄道以来の経済関係が続くタンザニアが中国に反して日本を向くことは未来永劫無いでしょう。
いわんや嫌悪感を隠さないようなコメントを出した木更津市は論外で、相手のナイジェリアがどういう国かもわかってないんでしょうね。今やアフリカ最大の経済大国で石油など資源も多いが石油に依存しないレベルまで経済が伸長しているのに。

ちなみにこのアフリカ開発会議、国際社会では珍しく日本主導で実施されています。1993年の第1回から今回で9回目ですが、EUや米国、中国の影響がない会議体であり、日本の国家戦略上、アフリカにプレゼンスを示せる貴重な機会ですが、この程度の反応というところに官民挙げての外交音痴、経済音痴ぶりが滲み出ています。歴代外相や次官が地道にアフリカなどの途上国を訪問してきたのはなぜか。日本が貧しいのにカネをばらまくな、という俗耳に入り易い批判を浴びせている国民は、日本の没落を狙う外国の第五列でないとしたら、相当な外交音痴、無知の類です。今回「問題」になった4ヶ国がどういう国か。ちょっとでも知っていればこんな無礼で怒らせたらヤバいと気が付きますし、そういう発想が起きないのが外交音痴、経済音痴の真骨頂です。ビザはヤバい?これも無知の証左。向こうのエリートが来るような仕掛けを作るほうがよほど有効です。いかにして単純労働者でない階層を招くかですよ。それこそ自治体にある企業からの輸出先開拓でのアドバンテージだって期待できますし。

アフリカ開発会議やアフリカとの関係を否定することがなにをもたらすか。それこそ人民服を着ていた時代から半世紀以上の布石を敷いてきた中国の思うつぼでしょうし、永遠に中国に勝てないレベルまで堕ちた感じです。今回の4ヶ国はいずれも中国との関係が深いとされており、日本の行動は目の上のたんこぶでしょう。資源でコントロールしたい米国も同じでしょうね。独自戦略で資源確保に邁進した田中角栄がウラン開発に手を出して米国の怒りを買った結果がロッキード事件というのは有名な話です。ロッキード側は実は訴追されていませんし、そもそも発端は中核の資料が米上院のチャーチ委員会に「誤送付」されたという田舎芝居レベルですから。

自分たちが影響力を行使できない会議体で経済関係を深められては困るのはこうした国々です。デマまで振りまいてアフリカ諸国の離反を誘おうとしている国政政党やその尻馬に乗るメディアや著名人は、正直中国などの第五列と言っても差し支えありません。例の政党はもともと「右の緑の党」に過ぎない政党ですから、「右」味は本当の目的の為の方便であり、今回はそれがはっきり出た格好です。無責任、あるいは確信犯的な扇動が外交関係を壊しかねない重大事を招く主犯です。

なお日本人の欧米(白人)信仰と有色人種蔑視の本音は、自分たちが差別される側、ということを忘れた格好でしみついています。これはなまじ植民地支配を受けなかったことも影響しているわけで、第二次大戦での敗戦も間接統治にとどまり、米国の「統治」が巧妙だったこともあり、欧米は常に「お手本」だったことも大きいです。

周辺諸国との軋轢が起きると、敢えて友好を唱える必要はない、なぜならば、と福沢諭吉の脱亜論を振りかざす人も多いですが、どんなに尻尾を振っても「異民族」「異教徒」は「欧米クラブ」には入れないことはトルコのEU加盟問題を見れば一目瞭然です。コストと血を流す軍事面ではNATOに加盟しているというのに。そしてアジアではない、と「蔑視」することで得られるものは何か。ネットでよく「日本スゴイ」系の「親日国ガー」という記事や書物の宣伝が出ていますが、皮肉にも親日国とされる国ほどドライですからね。自国のメリットになるのであれば中国に付きますから。そもそももはや各国で日本がもてはやされているのはサブカルなどヲタの世界だけですから。

上梓から半世紀以上、執筆開始からは60年以上という小松左京のベストセラー「日本沈没」には、いよいよ日本が「沈没」する際に政府が手配して国民が海外に避難(移住)するというシーンが出てきます。そしてそこでは国民の意向は欧米やリゾートばかり、と政府がぼやくくだりが出てくるわけで、海外旅行の自由化、外国為替の自由化以前で海外との接点が極めて限定的だった当時の国民性を反映させた表現としての「国民性」が、国際化されたはずの今現在においてもほとんど変わっていないことがわかります。同書では日本は地学的要因で「沈没」しますが、それが荒唐無稽としても、経済的、外交的に「沈没」することは十分あり得るわけで、その時世界中から見捨てられるリスクはかえって高まっているとも言えます。



食糧安保というその口で

2025-08-25 20:29:47 | 時事
新米が流通し始めていますが、5キロ6000円から8000円という価格でも志向されている、という記事が氾濫しています。
まあ経済的余裕がある上級国民の話であり、同じく上級国民であるメディアの記者どもの周辺で取材しているだけでしょう。土鍋で炊いて「おいしいね」とにっこりできる「ご家庭」がどれだけあるんでしょうね。

メディアの総意として備蓄米放出効果の否定があるわけで、あの手この手で躍起になっています。消費者としての肌感覚としては、「小泉米」がスタートした途端に効果はあったわけですよ。価格もさることながら、買おうと思っても流通現場に出てこなかった銘柄米がなぜか出てきましたよね。「江藤米」も遅ればせながら出てきたわけです。「小泉米」を見れば5キロでもう1000円は安くできるはずをブレンド作業にチンタラ時間をかけて本来の価格と銘柄米の価格の中間で売ってますが、そういう小細工はあれど市場に出さないと「小泉米」と同レベルの古米になるからどんどん出てきています。

令和の米騒動の発端を思い起こせばわかる話ですが、スーパーの売り場からコメが消えたわけです。買いたくても買えない。前農相じゃないですが伝手が無いと上級国民でもコメが手に入らなかったわけです。ところが「小泉米」が市場に出ると無いはずの銘柄米が出てきたわけです。実に分かりやすい事態ですし、まさにそれが政策の効果です。
平均価格も下がりましたよね。ちなみに銘柄米の値崩れもなく、Win-Winだったはずです。もし備蓄米の放出がなければ、銘柄米は釣り上がり続けてたでしょう。ちょうど今時分までに売り切るように出荷を絞りながら。実際スーパーではいったん棚が空っぽになって、値上げされたコメが入荷する、の繰り返しでしたからね。

食糧安保だなんだというメディアもいましたが、備蓄米放出にネガティブである以上は「主食」の出し惜しみ、2倍以上への値上げを容認しているわけで、じゃあ「食糧安保」ってなんだよ、といえば、国民が食糧を入手できる、という目的のはずなのに、モノがない、出てきたら高くて買えない、という状態のどこが食糧安保か。コメの生産国と緊密な外交関係を築いてコメを確保するほうがよほど有効です。国内農家が無理というのであれば、国民は買うのが無理と言っています。じゃあ国民が食うためにはどうしたらいいか。生産者の言い値で補助金を垂れ流すのではなく、確実にコメを確保、供給することが国家の義務でしょう。



手が届かない価格は妥当とは言わない

2025-08-21 20:47:21 | 時事
備蓄米の販売「期限」を延期するそうです。最終期限を明言していないがこれまでの8月末から概ね1ヶ月ということです。
市場に出回らない理由をあれこれ言っていますが、スーパーで思い出したころに間歇的な販売というのはいかにも怪しいわけで、大手流通に回ると困る、という勢力の最後の抵抗でしょう。検査ガー、とか理屈を捏ねていますが、大手流通が購入した大ロットが何でそんな不自然な動きになるのか。

結局市場の飢餓感を維持して新米の高値販売につなげたかったんでしょう。それまでは2024年度産の銘柄米を発売すると。2024年度の銘柄米を高値で長期間販売すべく出し惜しみしていたのが備蓄米によりぶち壊しになったので急に銘柄米が出てきたわけですが、その説明もできていない胡散臭さが払拭できません。

2025年度産は「青田買い」でかなりの高値になっているところに気象条件が悪いという話もあるわけで、高値安定のリスクが顕在化しています。卸や生産側は高値販売に越したことは無いわけですが、備蓄米が攪乱要因で、新米販売時期に高値で売るつもりがそこに備蓄米が重なるようにみえます。

卸や生産側は明らかに備蓄米の失敗を願っているわけで、消費者と対立する側になっています。
そして明らかになって来た2025年度産の更なる上昇があります。備蓄米を「冷やし玉」としていいタイミングでの放出となればいいんですが、どうもそれはしそうにないです。一方で卸や生産者は勘違いしているかもしれませんが、消費者がいつまでもコメを買うとは限らない、という現実を見るべきでしょう。

大規模生産が可能な農業法人の示す販価と消費者が考える妥当な価格に実は大きな差はありません。既に大規模農家、農業法人による生産が7割以上ですから、本来はそこが落としどころです。ところが昨年の「米騒動」時点で5キロで1000円超というレベルので値上げとなり、さらに新米で釣り上げ、となると消費者はコメを買うのか。

「主食」だなんだと言っても収入に釣り合わない価格では「主食」にはなりません。「和食」が世界文化遺産となりましたが、大多数の日本人は「和食」を食べているかどうか。和風のお惣菜がせいぜいであり、「和食」がイメージする食事を年に何回食べているか。当然それは「高い」という障壁があるわけで、日本人の大多数が食べていない「和食」という虚像が生まれています。そして「主食」もまたその後を追うのか。

2025年度の銘柄米の新米の相場は、消費者と生産者の亀裂を決定的にするでしょうね。あるいは「妥当な価格」で提供する大規模農家をバックヤードに持つ流通大手が踏ん張ればそこまではいかないでしょう。なんだかんだと言って「主食」を前提にした食品体系、産業のすそ野を考えると、「主食」を食べなくなることの影響は大きいです。

それでも高く売りたい、というのであれば、備蓄米、そして輸入米で「廉価版」マーケットを確立するしかないでしょう。
「和食」を楽しめる人たちだけの「主食」という状態にならないようにしないと、日本の食文化どころか産業が消えますから。