庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

ライバルの存在が大事。といっても競争ルールが必要。  

2009-07-12 | 暮らし・健康問題
身近な生活の問題から、安心できる社会に基本になる世界の問題まで、適度な緊張感を持たせる「ライバルが必要」ということを、何度か書いてきた。
政治の世界では、日本もどうやら、この考え方が定着し、地方自治体に首長選挙では、変えることを目指す若手の候補者が支持を得て、責任ある立場についている。
これからの行動が注視される段階にすすんでいる。
本日は東京都議選の日で、変えることを目指す都民の声はどれほどになるか・・・・・。

ところで、急に別の話になるが、ちょっと考えてみる必要がある事例に気が付いた。
近く、総選挙もおこなわれるので、目につくことであるが選挙開票速報の話題である。
テレビキャスターの久米宏氏がラジオ・・でしゃべっていたことであるが、開票速報の番組が始まると冒頭で必ず、各党の当落者数を集計した「出口調査結果」が放映される。
そこで、大勢がどうなったかは、大方判明し、開票速報の役割を果たしている。
以前は、この調査は行われていなかったので、政治評論家や政治記者の取材による結果予想の範囲であり、それから見ると各段の進歩?と言える・・といえない。

これは、選挙速報という視点に的を絞れば話は簡単である。
各テレビ局が視聴率を競って、いかに聴視者の目を引き付けるか、に邁進し努力の結果で進歩と見れる。
しかし、選挙速報とは、政治に関心を持っている国民には、関心の高い番組である。
くだらないワイドショーなどを見あきた視聴者にも、興味を引く話題であり、ひとつの競技ショーの感覚もある。
つまり、見ていて変化していく過程を楽しめる「スポーツ中継番組」に近い感覚である。
ところが、結果も出ていない(少なくと開票が進むまでは誰もわからない)のに、結果は冒頭で解ってしまう。
あとは点差が、いや票数の差がどれくらいかの誤差範囲の報道になる。
見ている面白さは、まったく半減以下、いや、9割減の感覚になる。

出口調査が始まってから、選挙開票速報の視聴率が上がったのか、下がったのかわからないが、誰が見ても番組の価値は落ちている。
それも、テレビ各局が視聴率を競って努力した結果、番組の価値は落ちてしまった。
これでは、冒頭の調査結果を見てすぐに視聴をやめてしまい、終わりの確定票数、当選者の名前を見るときだけになる。
視聴率をあてこんだ企業スポンサーにとっては、お金を出す価値は減る。
しかし、番組を作る局側は、出口調査の精度を上げるために多くの調査企業とアルバイトを必要として、経費が大量にかかる。

この臨時の必要経費で、ホンのわずかはGDPの向上になるが(結果は一時的雇用増)、調査関係者以外は、誰も喜べない事態になる。
視聴者は番組に対する興味は9割減。
テレビ局は収益の悪化、スポンサー企業は広告効果の低下、などなど。
強力なライバル、競争相手にいる民間企業では、(NHKも視聴率競争の例外ではない)少しでも先へ行く技術、手法を取り入れなければ、競争に敗れて脱落し、最後は退場を迫られる。
でも、その原因は、ほんの数時間の間も結果を早く知りたいという、本能的な視聴者の要求にこたえるために沿ったことにある。

ここで、前述の久米宏氏は言う。各局で申し合わせて、出口調査をやめる。と協定すればよい。
しかし、どこもそれには応じないという。視聴者であるあなたはどう考えるのか?

この事例は、身近であるが、今の自由主義社会の矛盾を色々な面で具体的に示している。
個々人と各企業が自分の望むところを実現させることは、全体で見ると退化していくことになる。
ライバルとの競争は大事であるが、節度を持ったルールがないと、成果は嘆かわしいものとなる。

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