庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

民間企業の競争は節度あるルールのもとで、公平に。

2009-07-13 | 暮らし・健康問題
昨日の東京都議選挙で、やっと政治の世界には強力なライバル関係で争われる状況が生み出された。
万年野党のような政党から、政権担当能力のある政党が対抗馬として育ってきたのを見て、有権者はライバルを選んだ。
これで万年与党の座に胡坐をかいてきた旧体質の政治家は退場を迫られ、若手のやる気のある政治家に世代交代をしていく。
その中で切磋琢磨によって成長し、レベルの高い政策を実行する能力が育っていくであろう。
やはり、緊張感を持った日々の取り組みが基本である。

一方、民間企業は激烈な市場競争の場に日夜さらされていて、こちらは周り中がライバルのような世界に棲んでいる。
官に保護された既得権業界を別にすれば、競争状態は日常のことで緊張感だらけである。
国内だけではなく、世界の途上国からの追い上げも厳しくなり、さらなる生産効率の向上と、品質、商品魅力のランクアップに余念がない。
その中で、手をつけてはいけない分野がある。
それは働く人の待遇や報酬を引き下げてはいけない、という鉄則である。

小泉内閣において日本の停滞した経済を活性化する方策として、構造改革路線を打ち出した。
聖域なき構造改革として、あらゆる既得権構造に踏み込み規制の壁を次々に緩和し破壊してきた。
しかし、やってはいけない方向の人件費の削減には、産業界のいいなりに規制を緩和してしまった。
この結果が労働環境の悪化、労働分配率のなし崩し的低下、非正規社員の増大、そして所得格差の大幅な拡大を引き起こした。
構造改革路線は格差拡大という誤った意識を国民全体に広めてしまった罪は大きい。

この関連の雇用問題については、このブログで6月13日~18日にかけて、かなり掘り下げて書いてきたので、関心があれば、もう一度読んでいただきたい。
産業界の言い分は、国際競争力の維持には人件費を下げる必要がある。
だから、臨時雇い的な社員の比率を増やして、生産コストを下げることが必須である。という説明である。
これは結局、消費者である国民全体の収入を減らすことになって、いったん不況になれば、大幅な需要減退でさらに不況を深刻化させた。

経済学の用語でいえば「合成の誤謬」を引き起こしてしまった。
一社だけが人件費の引き下げをするならば、その企業は競争力を増すが、全社がそれをやれば全体が沈んでいく。
こんな簡単なことすら、産業界のリーダーが知らないらしい。
もし、知っていてもそれをやったとしたら愚か者としか言いようがない。
しかし、民間企業は自由競争にさらされている。
ウチは人件費の削減には手をつけない、という企業は稀であろう。
これは競争のルールを制限する規制をするしか良い手だてはない。

前にも書いた様に、まずは規定労働時間を厳密に守らせる。
違法残業は、刑罰処分とする。
そして、残業(超過勤務)手当は、今のような30%増しの手当てではなく、最低でも50%増以上とする。
そして、有給休暇の年末カットはゼロにする。
もちろん派遣社員制度は根本から見直し、限られた専門職〈高技能者に限る〉を対象とした制度に戻す。
そして最低賃金の制度を改革する。

民主党は時間給で、最低1000円を規定する法律制定をマニフェストに盛り込んだ。
この程度は必須の労働条件であろう。
しかし、これには弱体の中小企業が対応できないという。
このような面では、移行期間を設けて、その間は公的資金で支援する。
一定期間を過ぎたら支援は廃止するようにしないとモラルハザードを起こすから、それも慎重に検討すべきである。
このような経過処置をとりながらも、労働環境の改善を基本据えるルールを制定すれば、企業間の公正な節度ある競争が進み、本当に良い企業が残っていく。

本当の構造改革は公正な節度あるルールのもとでの競争である。

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