庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の市民は社会活動への参加が少なく、公益は「官」に?  

2010-03-01 | 暮らし・健康問題
1990年代からの失われた20年という時代は、日本の市民が行き先を見失った20年でもあった。
1960年代から80年代までの高度成長期は、日本の活力はなんと言っても、活発な企業活動の成果であり、2度の石油ショックにおいても、会社人間として汗を流して乗り越えてきた。
それが、不動産バブルの増大と消滅によって、泡と消えた後の社会における目標を見失っていた20年でもある。

自民党政権による社会構造は、とにかく先導する企業や業界を優遇して、追いつけ追い越せの経済成長を促して、その税収増加を利権構造の中で、配分をすることで権力を維持してきた。
そして、ほとんどの政策は中央の官僚組織による省益を、維持増大させる目的が主眼となっていった。
明治政府以来の日本統括を支える、官僚の官僚による官僚の為の組織維持が根本に根付いている。
政治家は、その構造の表に立たされた、タレントに相当して、おぜん立てされたイベントをこなすことが政治家の役割になっていた。
小泉構造内閣は、これを壊すことに挑戦したが、派手なパフォーマンスの割には、官僚依存の政治からは、ほとんど離脱出来ていなかった。

民主党の連立政権になってから、少しは政治主導の兆しが見えてきたが、市民が積極的に参加して、実現すべき目標の議論を盛り上げる状況になるには、まだ遠い道のりが控えている。
2000年の初めから、市民の活動を支援して社会への公益的な事業への参加を後押しする「NPO法人制度」が発足した。
これは、従来の市民の自発的な活動を組織をキチンとつくり、法人として継続的な活動が成り立つように、税制面でも支援する制度である。
しかし、この支援のやり方は、非常に中途半端な段階にとどまっている。

鳩山政権は、「NPO法人制度」の見直しを進めて、個人の寄付をもっと集めやすくする、優遇税制策を拡充する方針を打ち出している。
日本の「NPO法人制度」は、発足後10年程度しかたっていないが、現在は3万9千法人が登録されている。
現状では、どの団体も小さい組織にとどまり、活動資金の制約が多くて「公共益に貢献する」という目的に対して、あまりに非力な段階にあって苦労をしている。

現状レベルを海外の先進国と比較したデータでみると、イギリスでは約16万団体。
アメリカでは約30万団体で、財団法人は約8万団体である。
個人の寄付金総額は年間で、日本、0.26兆円、イギリス、1.5兆円、アメリカ、20,4兆円である。
個人の寄付が日本でなかなか進まないのは、税制面での支援が皆無であった歴史もあり、さらに、
英米ではキリスト教会を中核とした寄付文化が根付いている違いがある。

この市民が自らの意思で公益的活動にかかわり、税制の優遇に支えられた資金によって育っている土壌の違いによって、社会の公益活動を支えるレベルの差が付いている。(以下次回に)

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