庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

公益活動の拡大充実は、市民参加の団体を優遇する制度で。

2010-03-02 | 暮らし・健康問題
社会における公益的な政策の転換、進化が必要になっているが、今までは、官僚が公益を担う役割であった。
公益的な事業を計画して実施しようとすると、必ず、担当の官庁は実施の窓口となる、「公益団体」を設立して、そこに予算を流して事業を実施していく。
そこには、必ず何名かの官僚OBを役員として送り込み、実質的な下部組織となっている。
公益事業は「官僚が計画し、統括する」と言う、基本の考え方が明治政府以来、ずっと継続している。

この公益団体は、「特定公益増進法人」の制度が出来るまでは、市民の方から設立をすることは、困難であった。
事業の性格、内容からみて、どの官庁が監督するのが適切かの議論があって、財団法人にするのも、社団法人を作るのも、必ず担当の決まった官庁の認可を受けなければならない。
その際に、事業の内容を審査すると言う名目で、官僚の都合のよい方向に「公益団体」の定款、目的、目標が定められる。
その事業の中身は、毎年、官僚の監査の対象となって、次年度の予算の配分の決定を左右される。
つまり、官庁の意向に逆らうことは、事実上、不可能な組織である。

これでは、「公益とはなにか」と言う判断は、すべて担当官庁の意向と、官僚の裁量の範囲に限定されてしまう。
予算の制約もあるので、すべての公益的な事業を網羅できるわけにはいかないので、官僚側としては、自分たちの責任の負える範囲の事業にしか、手を出さないし、天下り先となる「公益団体」にしか、関心を示さなくなる。
官僚自身の側からすれば、責任の負えない「公益団体」は認可すべきではない対象であるから、制限することは正当な判断であった。

この制度が長年続いてきた影響もあって、公益の中でも「官僚政治による統治」の対象から外れた公益に資する事業を行うのは、自発的な小さな活動であった「市民団体活動」にゆだねられた。
この活動は、任意の団体として行われるもので、町内会や同窓会の域を出ない同好会的な活動にとどまることが大半である。
福祉面や、地域社会の公益的事業や、環境問題の活動などは、市民団体の形で活動することはあっても、規模を拡大したり、継続的な活動はやりにくい面が大きい。

そこで1990年代の半ばから、市民活動のメーンの団体の有志があつまって、「市民活動を支える制度をつくる会」結成し、官庁の監督を受けないで済む「公益活動団体」を、認可ではなく、届け出による形式で法人として登録出来る制度を提案した。
6~7年にわたる粘り強い活動で、政治家を動かして、超党派の支援を受ける立法化の動きに結び付けて、「特定非営利活動法人」を制度化することが実現した。
しかし、この段階では、「組織を法人化して継続性を持たせる」ことに貢献しただけで、資金面での優遇措置は、殆どないに等しい。

数年後にやっと、寄付金に対する優遇措置を講じる制度が実現した。この内容は次回に。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。