本日(7月21日)は、海の日に制定されている。
「海が与えてくれる豊富な資源に感謝する」との表題で、全面広告が掲載された新聞の中から、採りあげたい課題について、掘り下げて書いてみよう。
謳い文句は『海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う日』として、海の日が制定された。
「日本は四面を海に囲まれ、水産資源やエネルギー資源、鉱物資源などたくさんの恩恵を受けています。私たちの生活を豊かにしてくれる[海の産業]を紹介します。」と広報されている。
しかし、大半の日本人は、日本の海の恩恵と将来への資源開発の可能性を、知らないママに、欧州やアメリカの方ばかりを見て、それを追い求める。
明治維新の段階で開国した日本は、とにかく欧米の文化、技術に追いつくことだけに国も国民も集中する様にせざるを得なかった。
その後追いの習性が、文化人だけではなく、科学者、技術者、実業家、官僚、政治家の頭を、無意識のうちに縛っている。
日本の周囲の海には、21世紀に開拓される眠れる資源が、それこそ、無尽蔵に待っている状態なのだ。
日本は一時期には、海洋への夢を持って『海底の調査船の開発』に力をいれてきたが、バブル崩壊後は進展が衰えている。
しかし、この様な道の領域への調査と、新技術開発の挑戦は、一朝一夕で成果が出る様な課題ではない。
金融バブルが崩壊し、その後の「IT産業立国」が泡と消えた国策と違って、国家100年の計に沿って着実に取り組み、科学者の育成が必要である。
そして、科学的、学術的な進展の上に立って、大胆な技術開発目標を設定しなければならない。
ところが、安倍政権の取組は、すぐに成果が表れる様な、安易な経済成長の目標を立てているので、国家の長期的課題には、少しも力を入れない。
官庁の方針に沿った、「省益追求型の新事業、新技術開発」には、予算を配分するが『海洋産業立国』の様な、省庁を超えた国家戦略は、おろそかになる。
年に1回の『海の日』の広報についても、民間企業が取り組んでいる課題を広告紙面に出すだけで、政府としての取組姿勢のアピールは全くない状況だ。
これほど、長期的課題の「海洋産業の研究開発」をしない政権も珍しい。