北方領土には米軍基地を置かない、との方針は、「公約違反を繰り返してきた安倍政権の表明」では、ロシアも日本国民も信用していない。
それと、地方重視の開発国策も、スローガンを掲げるだけで、具体性の見える技術分野と産業育成の構想は、空回りばかりに終始する。
ロシアが平和条約締結の取引材料に、二島を返還するにしても、安倍政権の今のような産業育成の具体策がない状況では無益だろう。
例えば、新産業の育成の候補としては、海洋立国を目指す日本の長期ビジョンを策定しておけば、二島返還をテコにすることができる。
既存の事業者や、漁業権の制約を受けないで、長期で発展性、継続性のある養殖漁業技術の開発と産業育成の展開構想が具体化できる。
短期間で交代する「霞が関の官僚の論理」から、縛られない状況で「新産業育成の一貫した国策方針が確立できる。
これならば、新進気鋭の民間企業の経営者や技術的挑戦に挑む、活発な起業家の参画が期待できる状況になる。
二島返還の直接的なメリットは、今のところ、大義名分だけだが、『次世代の産業資産を国の総力を挙げて開発育成』の開発拠点にできる。
地域社会に浸透して持続できる新産業とは、「次世代漁業の近代化」、にとどまらず、『海洋エネルギー資源産業』も候補になる。
日本中から、次世代産業への挑戦課題を集める機会にできることが、「二島先行返還」の最大の効果を引き出せるだろう。
無策は無益だ。