庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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石炭火力発電の将来性は日本が先進技術への取組姿勢による。

2013-06-01 | バイオ燃料・バイオマス
火力発電の【発電電力量当たりのCO2排出量】を抑制する技術は、今のところ実用化されていない。
唯一の実施策は、「石炭火力発電」の燃料に「木質バイオマス燃料」を少量の割合で混合して、石炭と木質を混ぜて燃焼させる「石炭混焼発電」の技術である。
日本の電力会社でも、混合する割合が5%程度で実施されている。
しかし、木質の割合は少なすぎるので、【発電電力量当たりのCO2排出量】を削減できるにしても、その意義を認めてもらえるほどの効果はない。

この石炭燃料に、もっと大きな割合で混合する技術開発が求められている。
例えば、バイオマス由来の炭化物(これを『バイオ炭』と呼ぶ)にされた燃料を、石炭燃料と同等程度に混合するならば、発電電力量当たりのCO2排出量】を大幅削減する効果が期待できる。
石炭火力では、0.943kg-CO2/kWh.の【CO2排出量】が、天然ガス火力の
0.599kg-CO2/kWh.以下に抑制することは、技術的に可能なのである。
それには、『バイオ炭』の混合率を50%程度まで高めて、高効率に燃焼をさせる技術開発が必要である。
現在は、30%程度までの混合による発電の実用化実験が成功している。

それに加えて、『バイオ炭』を大量に製造して、供給するコトが必要になる。
日本では利用されない「生物由来の産業廃棄物」が大量に発生している。
これらを、焼却処分で無駄に処理している現状を、可能な限り「炭化物に加工」する技術と設備を拡充する施策が必要である。
米作りで大量に発生する「籾殻」などは、利用候補の筆頭にあげられる。
さらに、未利用のママに山林に廃棄されている「林地残材を木炭に加工」しての利用策も検討が必要で、国や地方自治体の積極的な取り組みが必要である。

だが、電力会社は【石炭火力発電】が安い発電コストで利用価値があることだけにこだわって、『バイオ炭』の混焼をすると「発電コストが上がる」として消極的な取り組みに終始している。
石炭火力発電は9.5~10.5円/kWh.で、石油火力発電の36~38.9円/kWh.のレベルに比べて圧倒的に安いのに、『バイオ炭』の価格が高いからとして、取組から逃げている状況だ。

たとえば、石炭価格の2倍の『バイオ炭』を50%混入しても、燃料価格が1.5倍になるだけで、発電コストは10%程度しか上がらない。

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