庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

意気込みだけでなくスジを通した説明をして国民の合意を。

2010-12-14 | 環境問題
日本の産業界の言い分は、グリーン産業はまだ未成熟の技術である、としている。
CO2削減目標を高めに国際公約すると、割高な削減策におカネを使わざるを得なくなる。
それによって、コスト高の製品で国際競争に臨むことになって、不公平な競争を強いられる。
この理屈を、1997年の京都議定書を締約してきた時期から、ずっと言い続けている。
だから日本の産業界は割高と思われるグリーン産業技術には、最小限の投資しかしてこなかった。

割安になる技術は、手近な省エネルギー関連の技術であり、設備の更新時には省エネ投資を実行して、エネルギー費用の経費削減に邁進してきた。
その成果は出ているので、生産コストは下がっている企業も多い。
しかし、同時に働く人の人件費も大幅に削減した為に、国内消費の減退を招き、2000年以降のデフレ対策において実効性が上がらないで、経済の停滞においては先進国の中でも著しい。

ここでもう一度、「温室効果ガスの削減費用が日本は割高である」という通説を、洗い直して見る必要がある。
前回に【削減費用】(円/tCO2)についての中身を引用したが、ここで、【年価に換算する係数】についての疑問点を挙げた。
経済産業省が使う数値、「使用年数」(その設備、機械を使う平均年数)を、短めに想定している事実である。
この数値が、「実際の使用年数」よりも短い事は、明らかであるが、その理由の説明はない。

麻生内閣当時の政府(経済産業省)は、短めの年数を使うことを当然として、温室効果ガスの削減に要する費用、【削減費用】(円/tCO2)を計算して、それを根拠に、日本の削減目標設定の基礎数値とした。
この数値で、2020年までに25%削減を実行する場合には、平均の【削減費用】(円/tCO2)は、『3万2100円/tCO2 』になるとしている。

この数値をもって、日本が25%削減目標を掲げることは、割高な削減費用を使うことになるので、目標数値は低めにすることが、日本の国益になるとした。
その結果、麻生内閣は、「1990年比で8%削減」が日本の目標としては妥当である、との政策決定をした。
これが世界からは、日本は積極的な取り組みを回避しようとしているとの批判を受けることになってしまった。
国民からも、麻生内閣、自民党政権のやる気の無さに愛想を尽かして、実力の方は未知数だが、
意気込みだけは魅力的に見える「民主党に政権交代」をさせることを選択した。

民主党のマニフェストには、「温室効果ガスの2020年削減目標は25%」と謳っている。
2009年9月に発足した鳩山政権は、威勢よく、この公約を国連本部の演説で打ち出している。

しかし、25%削減に必要な平均【削減費用】(円/tCO2)は、不透明なままになっていた。
今回、新政権のもとで進められてきた、数値の見直しがやっと公表された。(以下、次回)

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