庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の高い志は公平性という凡人の発想によって挫折したか?

2010-12-13 | 環境問題
地球気候変動対策において、全世界が同じ目標に向かって「温室効果ガスの排出削減」を実施することに合意した。
日本はその行動において、世界最先端の「環境、省エネ技術」を駆使して模範となる行動を実践すべきである。

昨年の鳩山内閣が、国連において、「2020年までに1990年比で25%削減を目標に取り組む」と宣言した時には、多くの国から賞賛と期待が込められた声が上がった。
しかし、前提条件とした「世界の主要国(アメリカや中国、インド、ブラジル)を巻き込んだ公平な削減目標を引き出した場合」は、今や望むべくもない状況に陥っている。

つまり、日本の高い理想の目標は、よそが一緒にやる場合に限ってのこととしている。
「よそがやらない場合は、うちもやらない」では、当たり前のことで賞賛も期待もされない。
その反動もあって、今回の国連の[COP16]では、終始、悪玉国家の役割を演じる事になってしまった。
その言い分は、アメリカ、中国が参加しない「気候変動対策条約は、無意味である」という正論であるが、イメージとしては抵抗勢力とみられる。

日本の言い分は、高い削減目標を掲げると、割高な削減策にもおカネを投じることになって、経済成長の足かせになる。という、従来の経済論理である。
しかし、ここでもう一度、それが本当なのか、根幹の部分を洗い直してみるべきである。

麻生内閣のときに、削減に要する技術手段を細部に渡り検討し、【削減費用と削減量】を洗いだしている。
【削減費用】(円/tCO2)=【対策費用】(円/年)÷【GHG削減量】(tCO2/年)
(GHGは、温室効果ガス。CO2とフロンなどの6ガス)
ここで、問題は【対策費用】(円/年)についてである。
【対策費用】(円/年)=「追加的投資費用」×【年価に換算する係数】+「維持管理費用」-「エネルギー費用の節約額」

ここで、【年価に換算する係数】という見慣れないモノが使われている。
つまり、省エネルギー設備を購入した場合に、その使用年数を何年に想定するかで、この係数が変わり、【対策費用】(円/年)は、大きく変わってしまう。
自民党政権のときは、産業界に配慮して、この「使用年数」を3年~9年に想定した。
しかし、実際に導入した設備は、12年~15年は使用するのが実態である。

家庭用の設備(冷蔵庫、エアコンなど)を購入した場合の使用年数は3年としている。
しかし、普通の家庭であれば、少なくとも8年は使用するのが実態である。
この想定年数の違いにより、何が結果として出てくるか。
【対策費用】(円/年)の数値が、高い金額となってでてくる。
これがどう影響するか、もう少し立ち入って書いてみよう。(以下、次回)

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