庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

鳩山政権のスローガン「コンクリートから人へ」は・・・?

2010-03-31 | 核エネルギー・原子力問題
日本のエネルギー政策について、この3月の主要テーマとして、採りあげてきた。
それは、日本の経済再生の要になる重要課題であるし、温室効果ガスの削減目標を高く掲げて、日本全体がそれに邁進することが、活力を取り戻す絶好のチャンスとなるからである。

それにも拘わらず、日本の政府はいまだに「原子力発電の増設」などと、国民の信頼を得ていない方針を潜り込ませて、既得権を守り抜きたい「原子力産業族」の温存を図ろうとしている。
この10年間で、それが間違った方向であり、さらに国民の信頼を失うことばかりが続出している状況を直視しないで、不誠実なことを繰り返しているということに気がつかない。

昨日も中国電力の島根原発において、定期検査の不正が発覚したと報道されている。

島根原発で123件の点検不備 1号機の原子炉停止へ
2010/03/30 「共同通信」
 中国電力は30日、島根原発1、2号機(松江市)で過去に実施した定期検査 の点検作業について、不適切なケースが計123件あったと発表した。運転中の 1号機の原子炉を手動停止し、定検で停止中の2号機とともに、今後詳細に点検 する。(中略)
 国は安全機能の重要度に応じ4段階で機器のランク付けをしているが、123件のうち57件は最重要ランク。(中略)
 島根県と松江市はこの日夕、中国電力の清水希茂島根原子力本部長らに事情を 聴き、再発防止を申し入れ。同社によると、1号機は昨年10月に定期検査が終わり、発電を再開していた。

この報道を見て、日本の原子力発電関係者のずさんさに、あきれたとしか言いようがない。
あれほど、2000年頃から続出した、原子力発電関係者の不祥事が発覚して、事故までの起こしてきた事態に対して、つい昨年にも、このような手抜きをしている神経は、いったい、どういう感覚なのか。

現在、稼働中の54基の原子炉を【絶対、安全に運転】することを守るのが、原子力産業関係者の責務である。
「再発防止」の申し入れをしている地元自治体関係者の、お定まりの「安全確認」などでは、もはや済まされないくらいに、現場の意識感覚がマヒして、技術を維持するレベルが落ち込んでいると、思われる。
こんな状態にしたままで、2020年までに新規に8基の原子炉を増設することを、計画に入れる感覚は、どうなっているのであろう。

現在は「温暖化対策基本法」の政府案の中に、原子力発電の文字をすべり込ませている。
原子力族の巣窟である経済産業省の「総合資源エネルギー調査会」は、この文字を金科玉条にして、問題だらけの原子力発電の促進計画を盛り込むことに躍起となっている。

鳩山政権は、「コンクリートから人へ」が、政権の目玉ではなかったのか。
原子力発電所は、それこそ【コンクリートの塊】である。
関係者の頭も精神も「コンクリート」であり、それも劣化して危なっかしく、ボロボロである。