庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

世界の問題は気候変動対策、核兵器の拡散防止、廃絶へ。

2010-03-28 | 核エネルギー・原子力問題
世界がこれから直面する大問題に「気候変動対策」があることは、だれも異論がない。
その対策において、化石燃料の削減に効果のある新技術と産業を育成することが、最重点課題であることも合意されている。
再生可能エネルギー産業と、省エネルギー技術がその最有力な分野であり、各国とも力を入れて、最先端を競っている。

日本の環境省も「温室効果ガスの削減に向けた長期ロードマップ」を発表して、その具体化に向けて進みだしている。
一方、日本の官庁の省益優先、縦割り行政の弊害の象徴である、経済産業省の「長期エネルギー基本計画」が全く、別の組織、別の指示系統で進められようとしている。
バラバラに進めてから統合しようとしても、抵抗勢力によって、余計にまとめにくくなるのは明らかである。
すぐにでも、統合した組織で、日本の基本となるエネルギー国家戦略を策定すべきである。

そのなかで、両方の計画の中に、「原子力発電」の増設の方針が盛り込まれている。
何度も書いてきたが、今の原子力発電では、大量の放射性廃棄物が出て、その処理方法と処分地は、50年もたった今でも、決まっていない。
こんな、無責任な技術と産業は、今までになかったことである。
そして、もうひとつの大きな問題点である「核兵器への転用可能な技術」と言う事に、もっと留意するべきである。

3月27日の報道で、アメリカとロシアが核軍縮条約に合意したと伝えられている。
核兵器の登場によって60年という年月は、常に核戦争の脅威にさらされ続けてきた。
今でも、核兵器が、好戦的な国に広がる傾向にあることは間違いない。
その中で日本は唯一の被爆国として、核兵器の製造、保有に対して、反対する立場を貫いてきた。
鳩山政権も「非核三原則」を堅持して、世界への核兵器廃絶の活動を積極的に進めるとしている。

その一方で、「温室効果ガスの削減に効果がある」と言う、大義名分を掲げて、原子力発電の増設を掲げ、さらに経済産業省とそれに乗っかった産業界が「原子力発電」の設備を、大量に売り込むために、国策会社を作ろうという動きがある。
これも、新幹線技術を世界に売り込むために、各企業ごとの売り込み活動ではなく、日本の国として普及促進の先頭に立つために、国策企業を作ろう、と言うのなら、国民に理解は得られる。

しかし、日本国内においても、賛否の分かれる「原子力発電」の増設問題であるのに、海外の治安問題や、政権の不安定な国にまで、売り込んでいく「商売人根性」丸出しの国策会社は、あり得ない政策であろう。

経済産業省の立場としては、国内企業(原子力発電技術の関連)の輸出競争力を支援して、経済に貢献するのが責務であるから、海外への売り込みを支援するのは正当化出来ると考える。
しかし、核兵器の廃絶や核拡散防止は、経済産業省のまったくの責任範囲外である。

これは、原子力発電に関する政策権限を、経産省から取り上げることが第一に必要である。