なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原発不明癌

2023年04月10日 | Weblog

 3月に病棟に勤務していた看護師さんが亡くなった。症状が出てから、10か月経過していた。

 昨年の5月初めに心窩部痛があると病棟で声をかけられた。前の年に別の医療機関で人間ドックを受けていて、上部消化管内視鏡検査と腹部エコーでは小さな胆嚢ポリープ以外に異常はなかったそうだ。

 ご本人も軽く考えていたようで、胃薬を出して下さいという感じだった。普通にタケキャブとムコスタ(レバミピド)を処方した。

 10日経っても症状が変わらないと言われてた。また内視鏡はちょっとやりたくないということで、腹部エコーを行った。検査しているところを見に行くと、検査技師さんから門脈系に血栓がありそうですと言われた(脾静脈の血栓を指摘された)。

 急遽腹部造影CTを行うと、門脈血栓症を認めた。小さな肝嚢胞と血管腫はあるが、悪性腫瘍は指摘できなかった。肝硬変でもない。肝臓専門医もいる地域の基幹病院消化器内科に紹介することにして、翌日の予約をとってもらった。

 後で本人から話を聞いたところでは、基幹病院を受診したが、肝門部リンパ節腫脹を指摘されて、すぐにがんセンターに紹介になったそうだ。外来で検査をしてから、検査入院の予約になっていた(肝生検らしい)。(当院で行なった造影CTの放射線科読影レポートでも、門脈血栓のみ指摘されていて、腫瘍は不明なのだが)

 基幹病院からは1回外来で診ただけになったので、受診の報告のみしか来ていない。当院からの紹介ではないから、がんセンターからの報告もないので、本人が当院に来た時にたまたま会えば経過を聞くだけだった(休みながら勤務もしていたが、その後は長い休職になり、事務手続きにだけ来ていた)。

 生検の結果は腺癌と診断されたが、原発は不明といわれたという。抗癌剤治療を受けることになったと聞いていた。今年に入ってからは会っていなかった。

 3月半ばに病棟師長さんから、亡くなって葬儀に参列したという話を聞いた。夫は早くに紹介してもらったので、病気を受け入れる期間があってよかったと言っていたそうだ。

 確かに、症状を聞いて2週間目には高次医療機関に紹介したことにはなるが・・・。人間ドックを受けていても早期診断はできない発症様式だった。

 

 この看護師さんは、当方が当院に赴任した時には外来の主任さんだった。当時の看護師長さんは定年まじかの昔の看護師さんで、すっかり主任さんに任せていた。外来診療でも病棟診療でも大変お世話になった看護師さんだった。

(当院のエコー担当の優秀な技師さんも3月で辞めてしまった)

 

 

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