なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

まだ生きてますから

2012年03月15日 | Weblog
 80歳台前半男性。2年前に肺炎で外来を受診した。入院治療を勧めたが、絶対入院しないというので、やむなく外来で経口抗生剤を処方した。幸いに治った。次に肺炎で受診した時は入院治療に同意したが、3日目で退院すると主張した(というより暴れた)ので、退院として経口抗生剤で治療した。認知症もあるが、もともと自分の好きなようにしかしない人だった。奥さんは、あきれながらも夫に合わせていた。
 その次からは肺炎になると素直に入院するようになったが、1週間目には退院するという。肺気腫がもとにあるが、誤嚥性肺炎を繰り返し、胸部X線では肺全体に陰影が広がって、初めて胸部X線を見るとビックリするようなものになっていった。たいていはユナシンで治癒したが、効果に乏しくカルバペネム(当院ではメロペン)に切り替えたこともあった。
 今回も1か月間から肺炎で入院して、軽快再発を繰り返した。治れば食べさせろと騒ぐ。誤嚥性肺炎を防ぐためには、絶食にして、経管栄養(胃瘻造設)にするか高カロリー輸液にするしかないが、それはご本人の希望と信念(?)に反する。家族と相談して、食べれば誤嚥性肺炎は起きるが、いったん肺炎が治れば食事を出すことにした。当然のように、またまた肺炎になって、今までで一番ひどい状態になった。奥さんにお話していると、葬儀社へ連絡すると言い出した。確かに葬儀社のお世話になりそうだが、まだ生きているから、それは亡くなってからでいいですと伝えた。
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