なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

夢でも見たんでしょう

2015年09月29日 | Weblog

 6月に肺炎球菌肺炎で入院した80歳女性はセフトリアキソン点滴静注で普通に軽快治癒した。内科クリニックに通院してからの入院だったので(紹介ではない)、当院のことを褒めてくれて退院した。ふだんはちょっと遠いが県庁所在地の駅前にある病院に高血圧症で通院している。主治医は大学で准教授までなった先生で、近くの病院・クリニックに紹介してもいいと言われているが、信頼して通院を継続していた。(大学の同級生だが、偉くなった先生と比べられるのもいやなので、それは言わなかった)

 その後少し達ってから外来を受診してきた。下痢が続いて、通院している先生に相談して止痢剤などを処方されたが、治らないという。てっきりCDI(クロストリディウムディフィシル感染症)と思って検査したが、CD抗原・CD toxinは陰性だった。疑わしいので、再検するよりはCDを考慮して治療することにしてフラジールを処方したが、症状は変わらなかった。便培養は陰性だった。炎症反応の症状はない。PPIなどcollagenous colitisをきたす処方は出ていない。整腸剤(ミヤBM)と消化剤(エクセラーゼ)を処方して経過をみているうちに症状が少し軽快してきた。コロネル少量も追加してみると、かなり改善して、むしろ便が出にくい気がしたので自分で止めていたという。下痢が続いてと受診した時よりはずっと元気になっている。

 いろいろ気になる症状を相談していく方で、今日は風邪症状の後に起きた呼吸困難の症状を熱心にしゃべっていた。1週間前に鼻水・咳が出て、1日だけ発熱があった。2日後の午前2時に急に息が苦しくなった。息がはきにくくなったそうだ。声も見にくかった。15分くらい続いて治った。そのまま続いていたら死ぬかと思ったという。喘鳴だったのかと訊くと、それは意識していない。

 風邪などで受診する内科クリニックでその話をすると、夢でも見たんでしょうと言われたとちょっと怒っていた。若い先生ではダメだと思ったというが、その先生は40歳代で確かに80歳からみれば若いのだろう。そういう喘息発作はあるのだろうか。その後同じような症状はない。何だったのかと言われると、こちらも何だかわからない。今は咳も治まっている。気道感染(ウイルス性)があったことから気道過敏になっていた可能性はあるのだろう。吸入ステロイドを開始するかといえば、ここは様子見だろう。わからないと伝えたが、話を聞いて少し考えたことは喜ばれたようだ。やっぱり病院の先生は違うと言って帰って行った。

 

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