36歳男性が11日火曜日の新患外来を受診した。子供が風邪をひいて、その後に自分も少し咳が出るようになった。前日にだるさを感じて、その日は軽減したが心配で受診したという。
身長178cm・体重94kgでBMIが29になる。20歳のころは120㎏あったそうだ。担当医が診察して、特に有意な所見はなかった。
感染症として問題があるということではないが、肥満があることから糖尿病・高脂血症などが疑われて、血液検査を行われた。
HbA1cが11.5%・随時血糖489mg/dlと糖尿病があった。尿糖4+だが、尿ケトン体は陰性。仕事もあり入院はできないので、外来で経過をみることになった。
食事量を減らすことと、運動を指示されて、1か月後に再検となった。食事と運動だけで経過をみるようだ。
尿糖排出で体重が減って来ていたのだろう。高血糖状態としての倦怠感が、感冒罹患でより強く感じられたということかもしれない。
当方だと経口血糖降下薬1剤は処方していた。DPP4阻害薬かメトホルミンいずれか、あるいはDPP4阻害薬+メトホルミン初期量(500mg/日)を出すことが多い。最初からSGLT2阻害薬というのもあると思うが、ケトーシスを惹起・悪化させそうでためらわれる。
若いので会社の健診でも簡単な項目のみになると思うが、尿糖陽性は指摘されていたのではないか。治療を始めるきっかけになったという点では、感冒罹患も悪くなかった。受療行動として、通常若い人が風邪で少しだるくても受診はしないので、糖尿病を心配していたのかもしれない。
いきなりリベルサスはどうですか?
最近、心・腎保護作用が(少?)ないDPP4阻害薬を使うのはためらわれています。
GLP-1受容体作動薬の注射薬よりは、同薬の経口薬の方がまだ受け入れやすいかもしれませんが、朝食前30分の内服はハードルが高い気がします。
「糖尿病標準診療マニュアル」に沿った治療をしているので、メトホルミン→DPP4阻害薬→SGLT2阻害薬と進めて、DPP4阻害薬からGLP-1受容体作動薬への変更が多いです。
メトホルミン初期量やDPP4阻害薬は内服方法が普通で、ほとんど副作用がないので、初めての内服薬としては使いやすいです。
やり方が古いのかもしれませんが(年代的は古い医者)。