内科医院から83歳女性が急性腎盂腎炎・敗血症性ショックで救急搬入された。血圧86/50mmHg、心拍数110/分、体温37.6℃だった。さかんに嘔吐したが、吐物は少量で茶褐色だった。喘鳴も聴取され、浮腫もあった。この方は昨年12月に急性腎盂腎炎・敗血症性ショック・DICで入院して、何とか治癒した。また今年の3月にも急性腎盂腎炎で入院している(前回ほどの重症ではない)。最初の入院で尿培養 ・血液培養から大腸菌が、二回目の入院で尿培養から大腸菌が検出された。感受性は良好の大腸菌だった。
今回はDICの所見はないが、白血球数が1000で好中球は600だった。前に入院した時は白血球数は増加して、治癒すると正常域だった。今回はいったん増加した白血球数が、減少に転じたのだろう。夢中になって、よくしゃべる。ただし呼吸は苦しいので盛んに体を動かす。相当な肥満があり、ストレッチャーからおちそうだった。酸素2L/分の吸入でもPaO2が58mmHgと低く、酸素5L/分で94%になった。胸部X線・CTで肺炎を示す浸潤影はなかった。胸水や肺うっ血も目立たない。肺炎・心不全も考えていたが、違うようだ。尿混濁は軽度だったが、尿路感染症からの敗血症と判断された。
尿培養・血液培養2セットを提出して、抗菌薬と開始した。内科医院ですでに抗菌薬(カルベニン)が投与されているので、菌は検出されないかもしれない。培養をとるという点では抗菌薬を投与しないでほしいが、一刻も早く抗菌薬を投与するという点からは好ましいことになる。治療が間に合わない可能性のあり、家族に伝えた。病室に上げると、救急室では座位にしないと呼吸困難になっていたが、病室では横臥できていた。家族も入院にはすっかり慣れているようだった。今回も何とかなるのだろうか。
当地域の基幹病院から感染症ラウンドの申し入れのため、呼吸器科医(ICD)と感染症認定看護師(ICN)と事務方の人が当院に挨拶に来た。一時ICNがいなくなり、それまで感染症ラウンドをしていた病院から断られてしまったそうだ。今回当院と組むことになった。当院は2か所の大規模病院と2か所の小規模病院とラウンドしていて、すでに要件は満たしているので、本来新たに増やす必要はない。しかし、当院とその基幹病院との診療関係を考えるとぜひ行っておきたい。異存なく申し入れに応じるが、今回は先方からお願するという形になる。普段は当院から重症患者さんの受け入れをお願いするので、珍しく立場が逆転したようになった。院長先生からと、菓子折りをいただきました。
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