なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ドネペジルで高度徐脈

2021年05月17日 | Weblog

 4月6日に91歳女性が右上下肢のけいれんで入院した。左後頭葉の脳梗塞の既往があり、症候性てんかんでイーケプラ1000mg/日を内服していた。

 イーケプラ500mgの点滴静注で軽減はしたが、治まらず、ちょうど夕の内服の時間だったこともあり、さらに500mg点滴静注を追加してけいれんが消失した。

 頭部CTで左後頭葉の脳梗塞を来した部位に硬膜下出血を認めた。けいれんと硬膜下血腫のフォローのため入院とした。イーケプラ1500mg/日内服で、入院後にけいれんはなかった。(その後、腎機能障害があり、1000mg/日に戻した)

 硬膜下血種は脳実質を圧排していて、通常の硬膜下血種ではないのかもしれない。途中から脳外科で使用する五苓散を追加しているが、悪化はないものの軽快もない。

 内科の若い先生(自治医科大学の義務年限できていた)が診ていた2019年には、すでに梗塞巣に一致した硬膜下血腫が軽度にあった。その後のフォローが抜けていて、引き継いだ当方も検査していなかった。

 

 入院中に高度の徐脈になった。P波はなく、規則的なnarrow QRSの27~30台/分の心拍数だった。洞徐脈で房室結節近傍からの脈が補充収縮で出ているようだ。

 最初は、心臓ペースメーカー植え込み術しかないが、適応はどうかと思った。ところで、認知症で以前からドネペジル5mgを内服していた。(もともと内科の別の先生たちが診ていて、引き継いだ時には出ていた)

 ドネペジルの副作用の高度徐脈が疑われた。ドネペジルの添付文書には、重大な副作用として、「QT延長、心室頻拍、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、失神があらわれ、心停止にいたることがあるのでこのような症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと」、とある。

 ドネペジルの半減期は4日間なので、やめてすぐには変わらない。それでも先週末から中止して、(徐脈傾向の)洞調律には戻った。

 ドネペジルによる高度徐脈はあまり意識していなかったが、頻用薬なので案外あるのだろうか。

 

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