Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

韓国・追憶の青春の旅【4】忠州・水安堡から陸海路でも日着圏

2016年08月22日 | ■韓国

 せっかくの温泉泊まりなので、朝イチに露天大温泉へ。韓国の温泉ホテルは大浴場の日帰り利用歓迎の一方、宿泊客でも半額程度のお金がかかるのが一般的です。
 山を見渡す露天風呂が自慢の温泉ですが、なぜか湯温が激熱。温度計は50度を指していて、韓国ナンバーワンの源泉温度そのままです。唯一のお客さんだったおじちゃんも、
 「水安堡はいい湯なんだが、これじゃあいかん」
 と困り顔でした。


 せっかくリゾートホテルに泊まったんだからレストランで朝食を、と思っていたらオープンは7時半からとのこと。予定していたバスに間に合わなくなるので、そのままチェックアウトしました。
 タクシーを呼んでもよかったのだけど、山の空気が気持ちいいので、麓までの道を15分、カートをごろごろ転がしながら下りました。


 温泉街は、どこかさびれた雰囲気。昔ながらのホテルは改修費もままならない状態で、廃墟になってしまったホテルもあります。日本のさびれてしまった温泉街と、似たような光景です。
 ただ昨夜見たような、家族湯併設の温泉は新しいものが多く、嗜好の変化も大きそう。中国からの観光客の取り込みだとか、いろいろ活性化の方策もあるように感じるのですが。


 川のせせらぎが清らか。韓国の温泉地は市街地型で「風情」に欠ける所が多い中、水安堡は環境に恵まれています。


 14年前、水安堡には立派なバスターミナルがありました。発車間際のバスを追いかけていたらアイスバーンで転倒、全治半年以上の重症を負った、痛い思い出の地でもあります。
 現在、ターミナルは廃墟となり、市外バスも路上の停留所に発着するようになりました。バスの切符は商店で買えます。ちょっと寂しい気もするけど、14年前からこの形態だったらケガすることもなかったのにとも思います。


 今日も市外バスの時間が合わず、市内バスで忠州市内へ。市外バス停留所に停車する市内バスはわずかなので、50mほど離れた市内バスの水安堡バス停を利用しましょう。
 今日は月曜日。市内へ出勤する人で、車内はぎっしり満員になっていきました。


 市内とバスターミナルで半々くらいの乗客が降りて、駅まで乗ったのは僕ら2人だけ。21万都市の忠州にあって、鉄道は本数も少なく、脇役の存在です。
 きれいな駅前広場が完成、バスやタクシーの乗降場も整備されましたが、市内バスは入ってきません。余計な施設は、旅人を惑わします。


 列車までの時間が30分あり、駅前にCUができていたのは幸い。コンビニ飯で朝ごはんにしました。
 缶詰のレトルト粥が2,600ウォンで、2個買えば1個進呈(2+1と表記されます)だったので3個購入。1個は自分用のお土産にしました。韓国では日本よりもお粥をよく食べ、街にはチェーン店もあります。日本に入ってきてほしい韓国文化の一つです。

 そういえば14年前、韓国のコンビニには必ずあるイートインスペースに対しても、同じことを思っていました。いつの間にか、日本でも当たり前の設備になりましたね。


 ソウル行きの特急「ヌリロ」に乗車。ソウル行きの列車は、1日でこれ1本きりです。それでも高速バスが苦手な人が集まるのか、平日にも関わらず満席近い盛況でした。


 忠州の次の駅は、大学最寄りの達川(タルチョン)駅でしたが、今は廃駅になっています。韓国の鉄道は、近距離輸送をバスに任せ各駅停車の本数はごく少なかったのですが、近年はその傾向により拍車がかかってきました。
 ついに各駅停車が全廃になる路線が続出、小駅は廃止になるケースが増えてきており、達川もその一つです。留学から日本に戻る時、仲間たちに見送ってもらったホームは朽ち果てていっていました。駅舎も、すでに姿がありません。


 車窓には、交通大も映ります。次の訪問は、いつになることでしょうか。


 ヌリロは、日本の日立製の特急電車。デザインは日本の特急電車そのものです。車内のモニタはKORAILのロゴが表示されるだけで、前面が見通せる運転席もスモークガラス化されるなど、車両の持ち味が生かされていないのは残念です。
 忠北線の列車のうち3往復はヌリロになっていて、グレードアップが図られているのは嬉しいこと。ただ列車の総本数は11往復とむしろ減っており、使いやすいダイヤとはとても言えません。本気を出せば、需要は掘り起こせそうな路線なのにと、毎度毎度思ってしまいます。


 小駅廃止の中で、清州空港駅は健在。ほとんど乗降客を見かけない無人駅でしたが、今日はカートを引いた旅行者が5人降りていきました。
 駅の懸垂幕には「空港利用者のための駅なので、駐車場はありません」と大書きされていましたが、駅前には違法駐車の車がひしめき合っていました。


 忠州から1時間、五松(オソン)駅で下車。運賃5,000ウォンなのだから、鉄道運賃もまた割安です。
 14年前は全列車通過の事実上休止状態だった駅も、今やKTX2路線と忠北線の乗り換え駅に躍進。ヌリロの乗降客も多かったです。


 とはいえ下り釜山方面のKTXまでは、1時間以上の待ちぼうけ。1時間に5本停車するような時間帯もあるのに、間隔にムラがあります。
 行政都市の世宗(セジョン)市の玄関口でもあり、通勤重視のダイヤ構成になっているようです。


 駅裏は化学工業団地になっていて、マンションも立ち並び市街化が進行しています。そういえば14年前、清州バイオエキスポなんて博覧会に行ったけど、この辺りだったのかも。
 お土産の買い物でもできればと思っていましたが、雑居ビルのスーパーは撤退した後でした。


 五松駅そのものは乗客も増えてきているようで、前に来た3年前よりも店舗が増えていました。
 一番の変化は、コンコースにウエディングホールができていたこと。3方面からのKTXが集うジャンクションだけに、全国どこからでも出席しやすいのはウリになりそうですね。


 五松駅のKTXホーム。湖南高速線の開業でKTXの分岐駅となり、駅施設の規模も倍になりました。
 せっかく相互の乗り継ぎも便利になったので、湖南~釜山方面の乗り継ぎにももう少し配慮されたダイヤだったらと思います。


 軽食屋で早めの昼ごはんを食べて、11時33分の下りKTXで釜山方面へ。左には、湖南高速線の線路が分岐していきました。


 2時間ばかりうつらうつらしていれば釜山なのだから、ラクなものです。新しい国際ターミナルの威容は、KTXの車内からも見えました。


 釜山駅の構内には、明日からKTX乗車時に荷物検査実施の予告が! 五松駅に何か空港のような機械が置いてあったのですが、このためだったのですね。
 当面はソウル、釜山、五松、益山駅で行うとのこと。検査なしの気軽な乗車は鉄道の持ち味と思ってきたけど、時代が許さなくなってきたということでしょうか。


 釜山でも船の出発まで2時間の余裕があったので、ロッカーに荷物を預けて身軽に。指紋認証式のロッカーで、ハイテクな機器にちょっとびっくりしました。


 駅右手の飲食街で、最後の食事として「鴨ポッサム定食」(9,000ウォン)を頂きました。鴨の甘味がじわっと広がる、いいお味。内容を見れば、なかなかお手頃な値段です。


 4日ぶりに、韓国の玄関口へ戻ってきました。


 帰路にゆっくり見ようと思っていたターミナルだけど、ゆっくり飯を食っていたら、手続き締め切りの出発45分前が迫っていました。広々したターミナルを、駆け足で見て回ります!


 スナックコーナー程度しかなかった旧ターミナルに比べ、飲食店がかなり充実しました。値段はちょっと高めかな? 時間の調整には良さそうですね。


 デッキに出れば、釜山港大橋が一望。1組のカップルがデートしてました。ここからなら、夜景もきれいなんじゃないでしょうか。
 ただフロアには撤退した店舗もあり、移転1年で、思ったほど集客はできていない様子。周辺の再開発も緒に就いたばかりで、建て込んでくれば商業的な価値が上がってくるかもしれません。


 3階の出国フロア。各方面の船会社のカウンターが並び、空港のようです。カウンターにはまだ空きもあり、新規参入、増便にも備えられています。
 仁川空港も当初の需要の数倍規模で作られていますが、おかげで増便にも余裕を持って対応できています。釜山港も、「これでも手狭!」という時代が来てきれればいいな。


 出国審査場をクリアした後のゾーンも充実。免税店は、倍か3倍かとも言える規模になっていました。僕は「頼まれモノ」の煙草を買うくらいなんで小さくてもいいけど、買い物好きにはたまりませんね。


 早めに出国した時には便利だったであろうコーヒー店は、残念ながら休業中。釜山金海空港のようにセブンでも入ってくれればと思いますが、現状では小さな売店があるのみです。


 帰国便は、月曜にも関わらず満席でビックリ。LCCに対して惨敗だと思ってたけど、まだまだ根強い需要はあるようです。
 荷物棚のない中央席だったので、船内後方のラゲッジスペースへ。ここには各種雑誌や新聞もあるので、荷物がない時も出港前に立ち寄っておくといいです。目立たないのか、満席でも新聞は余っていました。


 博多までの3時間は毎回、明日からの日常に備えて休息しておこうと思うのですが、前方モニタの映画が面白くてついつい見入ってしまうのがパターンです。おかげで寝不足は解消しないまま、博多港到着。
 高層ビルのような豪華客船が停泊する姿も、もはや日常となりつつあるのでした。

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