Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

福岡市の最北端・最西端へ~小呂島ショートトリップ~

2014年09月15日 |  □福岡発おでかけ日記
 福岡市の市営渡船といえば、能古島、志賀島、玄海島など、長くても30分程度の航路ばかりというイメージでした。しかし唯一、65分という「渡船」という範疇ではくくれない航路もあります。小呂島行き…福岡市の最北端かつ最西端の島を目指す航路です。
 本数は1日2往復。月・水・金は1往復になってしまい、日帰りは不可能というダイヤ。島に宿泊施設はなく、帰路が欠航になれば野宿する他ないという、「市内」とは思えぬ島です。3連休の中日に、そんな身近で遠い島へと旅立ってみました。


 小呂島航路は、能古島航路と同じ姪浜の渡船場から発着。所用時間10分の、バス並みに気軽な能古島航路の合間を縫って運航されています。


 島に宿泊施設はなく、欠航時は待合室を開ける旨の掲示。切符売り場でも、島外からの訪問客にはこのことについて念を押されます。
 「市営渡船」「西区の島」という言葉だけでとらえていると、決して想像の及ばない環境です。


 所定の出航時刻は9:00ですが、特に案内はなく9:20へ変更になっていました。前日の、姪浜⇒小呂島の最終便が欠航になっていて、早朝に送り込みがあったため遅れが出たようです。
 特に細かい案内がないあたり、島の航路ののどかさも感じられました。


 積み上げられた、給食の食材。島の子どもたちの学びも支えます。


 小呂島航路に入る船は、2000年に就航したニューおろしま。市営渡船として小さな船体ではありませんが、玄海灘の荒波に立ち向かっていく航路としては頼りなげな気も…
 船室は2階建で、座席がずらりと並ぶのみ。自販機などはなく、船外デッキは立ち入り禁止になっています。


 糸島市沖では、市街地を背景に行き交うヨットを眺めつつ、遊覧船気分。


 玄海島のすぐ側を通過。新しい住宅や集合住宅が多く、震災後の復興した島の姿が、海からも垣間見れます。


 玄海島を抜けると、海には白波が。船体の揺れも、にわかに激しくなってきました。縦に横に、不規則に現れる予告なき揺れに、船にはさほど弱くない僕もちょっと込み上げてくるものが…乗船時間があと30分長かったら、マズかったかも。
 沖に見える島影は、壱岐。緯度で言えば、小呂島は壱岐よりも北に当たります。


 約70分で、小呂島着。出迎えの人で賑わうのも、本数の少ない離島航路ならではの光景です。
 姪浜から70分かけてきましたが、逆にいえばわずか70分で、ずいぶん遠くに来た感じもします。


 港には漁船がぎっしり。水産資源が豊富な玄海灘に位置する上に、大消費地・福岡の市内でもあることから、漁業は盛んなのだとか。
 人口の流出も一般的な離島に比べればゆるやかで、海岸沿いには若者向けの集合住宅も見られました。島内でも、若い夫婦や子どもの姿を多く見かけます。


 島で唯一の商店が、漁協の売店。土日祝日はお休みなので、島に行って手に入れられる飲食物は、自販機の飲み物のみです。
 日帰りの小トリップでも、万一に備えて非常食の携行だけは忘れずに。


 海の透明度では、壱岐にも負けません。ビーチがないので、海水浴ができないのは残念なところです。


 天候不順だった夏を脱し、秋を前に快晴の日が続いたこの3連休。壱岐だけでなく、この日は九州本土もくっきりと見えていました。




 島内の車やバイクには、ナバープレートがありません。


 畑に置かれたバスタブは、水が貴重な島ではよく見かける光景です。


 追ってくるワンちゃん。野良ではなく、放し飼いのようです。


 配水池。周囲をコンクリートで固められ、遺跡のような風景です。
 行政区域としては福岡市なので、水道関係の施設はもちろん福岡市水道局のもの。その他の公共施設にも当然、「福岡市」「西区」の文字が並ぶのですが、島の風景と比べ なんともしっくりこない感が、また面白いです。


 島で唯一の学校が、小呂小中学校。2階建ての木造校舎は、のどかな島の山並みを背景にマッチします。
 どんな様子かのぞいていたら、出勤していた先生が招き入れてくれました。鍵はかかっておらず、西区内とはいえ離島ののどかさが感じられます。


 木造校舎とはいえ昭和50年代の建物とのことで、古さは感じられません。階段室は2層吹き抜けになっていて、解放感と明るさが感じられます。


 体育館も大断面の木構造になっていました。館内では、バドミントン部が顧問の先生の指導を受けて活動中。ちなみに部員は2名、中学校の全生徒です。
 午後は文化系部活での活動があり、島の中学生は連休といえども、忙しい毎日を送っているのでした。


 砲台跡などの見どころもある島ですが、船の遅れもあってこの辺でタイムアップ。13時20分の船で、姪浜へと戻りました。海も落ち着き、往路ほどの揺れはありませんでした。
 島で海の幸を味わえないのは残念ですが、赤坂のこの店では小呂島で水揚げされた魚を楽しめます。飛び込みで行ったので魚介類にはありつけませんでしたが、ぜひいつか「のどかな西区」を舌でも楽しめたらと思います。