教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

新旧教育基本法を読む(前文第二段落)

2006年12月21日 23時36分31秒 | 教育研究メモ
 昨日変な形でがんばったためか、体調を崩しました。ちょっと熱っぽい?
 夕方まで寝続けてしまい、完全に一日をムダにする。こんな自分への情けなさと体そのものが動かないので、起きあがる気力すら出ない。ただ、明日Y先生とのゼミがあり、Y先生の直系のお弟子さんの論文を批評しなければならず、その準備ができていなかったので、泣きそうになりながら登校。すでに一般家庭では晩ご飯が終わったくらいの時間。依然やる気が出ない自分にむち打ちながら、くだんの論文を読み、質問を考える。日付が代わる前にはなんとか完了できたのは幸いでした。
 これだけで帰るのはシャクなので、昨日の続きで教育基本法の勉強をしてから帰ろう。何度も言うが、ここでは改定点を淡々と挙げるだけに止める。
 しかし、文字を打つ指にすら、力が入らないのは情けない。

 【前文第二段落】
○旧教育基本法前文・第二段落
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
○新教育基本法前文・第二段落
 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

 旧法では、「個人の尊厳の重視」「真理と平和の希求」を備える人間を育成することが期待される。新法では、「個人の尊厳の重視」「真理と正義の希求」「公共の精神をたっとぶこと」「豊かな人間性と創造性」を備える人間を育成することが期待される。新法では、人間の希求すべきものが「平和」から「正義」に変更され、人間の備えるべきものに新しく「公共の精神をたっとぶこと」と「豊かな人間性と創造性」が加わった。なお、新法の「この理想」とは、前文第一段落において言及された、「日本国民が今まで築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させること」と「世界の平和と人類の福祉の向上に貢献すること」である。
 旧法は、教育の目的を「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造」とし、そのような教育を「普及徹底」しなければならないとした。新法は、教育の目的を「伝統を継承し、新しい文化の創造」とし、そのような教育を「推進」しなければならないとした。新法において求められるべき文化とは、普遍と豊かな文化的個性ではなく、伝統の継承と新しさを創造する文化である。
コメント
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