塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 問題作が傑作に 裸体美人

2023-05-17 03:04:49 | ミュージアム巡り_2023
 次の萬鉄五郎の「裸体美人」(Nudo Beayty、1912年作、2000年指定)。
 萬は先ほどの優等生・和田三造の東京美術学校・2年後輩で同じく黒田清輝に
師事するものの、黒田師風に飽き足らず反抗的な卒業制作を仕上げる。この作
品の評価は19人中16番目の成績だった。
 草原に横たわる裸婦、鼻の穴や脇毛をデフォルメして誇示したようで、題名
とのギャップも感じられたのだろうか。ところが当時、西洋のゴッホやマティ
ウスの作品が革新的画風として登場してくる。萬はその流れを敏感に取り入れ、
この作品に主観的表現を試みたのだ。
 萬自身、“これはゴッホやマティウスの感化のあるもので、半裸の女が赤い
布を巻いて鮮緑の草原に寝転んで睥睨している図”と説明している。この睥睨
とは、見つめられるモデルが逆に作者&鑑賞者を見下ろしている、と解釈。
 日本国内で初めて試みた作品として位置づけられ、個性の尊重さを表見した
モデルケースとして再評価を受け、重要文化財に指定された。
MOMAT(千代田区北の丸公園3-1)
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