塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 問題作が傑作に 築地明石町&新富町

2023-05-31 02:58:59 | ミュージアム巡り_2023
 次は、鏑木清方の「築地明石町」(Tsukijiakashi-cho、1927年作、
2022年指定)と「新富町」(Shintomi-cho、1930年作、2022年指定)。
 この作品は長く行方が判らず幻の名作といわれてきたもので、2019
年に同館(MOMAT)が収蔵。
 美人画の名手・鏑木清方は、製作の主眼は関東大震災以降に失われた
明治の面影を残し伝えることにあった。築地明石町の女性の仕草は、
遠のく明治期を振り返っているシーン。
 この作品は第8回帝展で帝国美術院賞を受賞し、その3年後に「新富
町」と「浜町河岸」が製作誕生し三幅対となる。
 では、この作品の秘話とは・・・、「新富町」の女性背景に見えるのが
「仮名手本忠臣蔵」の絵看板を掲げた新富座で、ここは関東大震災で
被災・廃業となる。また、「浜町河岸」の背景には深川安宅町の火の
見櫓が描かれ、これも震災で焼失。鏑木は町の名前を題名につけ、明
治中期の土地情趣を取り入れている。
 「築地明石町」は初秋(盛りを過ぎた朝顔)、「新富町」は秋(女性の
袖口に紅葉と菊模様)、「浜町河岸」は初冬(枯れ柳)をそれぞれ季節の
移ろいも描かれている。
MOMAT(千代田区北の丸公園3-1)

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ミュージアム巡り 問題作が傑作に 豫譲

2023-05-30 03:11:58 | ミュージアム巡り_2023
 次は、平福百穂の「豫譲」(Yu Rang、1917年作、2020年指定)。
 作品に描かれている豫譲は、中国・春秋時代の晋国役人で智伯に仕
えていたが、智伯が趙の襄子に攻められ滅ぼされてしまう。豫譲は主
君の仇をとるため趙・襄子を狙い、馬車で出かける襄子を橋の下で待
ち受ける。
 「史記」の記述では、人の気配に馬が驚いたため潜んでいた豫譲が
見つかってしまう。平福は効果を高めるために中国古代の石刻画を参
考に、両者を向かい合わせて描いている。
 この作品の発表当時、人物の表現が漫画的だと惨評する批評家もい
たものの、第11回文展で特選を受賞し、さらに購入希望者が数多く手
を挙げたと伝わる。
MOMAT(千代田区北の丸公園3-1)

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ミュージアム巡り 問題作が傑作に 賢首菩薩

2023-05-29 02:52:42 | ミュージアム巡り_2023
 次の作は菱田春草の「賢首菩薩」(Bodhisattva Kenshu、1907年
作、1979年指定)。
 この作品の描かれた僧は華厳宗大三祖・賢首菩薩、唐の則天武后の
問いに対し、庭にあった黄金の獅子を例に華厳の教えを述べたと伝
えられている。
 作品上部・菩薩を取り巻く部分に、橙と青、黄と紫、緑と橙といっ
た補色が多用されて、その存在を引き立たせている。特に菩薩の袈
裟の点描表現に凝縮されている。
 第1回文展に出品されたものの、審査の時点であわや落選しそう
になったと言われている。が、しかし、岡倉天心や横山大観、下村
観山がそろって強く高評価し二等賞(最高賞)を授賞。
MOMAT(千代田区北の丸公園3-1)

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Weekendの麺処巡り しら山 で 醤油

2023-05-28 12:43:39 | 麺_2023
 昨日の5月27日、東村山市にオープンした「らあ麺 しら山」へ。
こちらは昨年9月に「メンデザイン」を閉店し、充電期間を設け、
再び同じ場所で昼間はラーメンの「らあ麺しら山」夜はイタリアン
の「キッチン.mao」として二毛作で復活。

 そして、復活オープン記念として3日間「醤油らーめん」を500
円で振る舞われる。では、入店して注目の一杯を頂こう。

 器を被うほどの大きな叉焼の上にはコクの実と細姫葱のみ、麺は
三河屋製麺の特注麺ととてもシンプル。

 紫に輝くスープは甘味を感じ深みとコクがあり、仕事の完璧さが
旨味旨味として口の中で広がる。これまでの実績がこの味で伺える。
美味しく頂けた、ご馳走様。

らあ麺 しら山
東村山市栄町1-22-14
11:00〜14:00 不定休

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ミュージアム巡り 問題作が傑作に 熱国之巻

2023-05-28 04:02:12 | ミュージアム巡り_2023
 次の作は、今村紫紅の「熱国之巻(朝之巻」(Scenes Frorn the
Tropics-Morning、1914年作、1968年指定)。

 この作品は、今村がインドへの船旅の途中に立ち寄ったシンガポ
ールやマレーシアの様子が描かれており、水上に高床式の家を建て
生活する人々や水牛の牛車、木々など。この作品の他に「夕之巻」
作品も残されている。

 日本美術院の記念すべき第1回展で発表されるが、この大胆な色
彩表現に画壇の意見が分かれる。特に今村のパトロンだった原三渓
も“紫紅色くん一代の悪作にして脱線の甚だしきもの”と嘆じている。
 ところが時が過ぎた1968年に、革新的な画法が評価され重要文
化財に指定。今村の東南アジアからインドに架けた取材旅行中に、
多数のスケッチが地名の書き込みと供に残されており、当時の貴重
な資料として重宝される。
MOMAT(千代田区北の丸公園3-1)

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