塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 光悦の大宇宙 柏樹文鐔

2024-07-01 04:33:51 | ミュージアム巡り_2024
 続いて、「柏樹文鐔 銘 埋忠明寿」(安土桃山時代、埋忠明寿作、真鍮
製&はか、8.1/8cm、1枚、東京・宝永堂所蔵)。
 京金工の埋忠家は安土桃山時代から江戸時代前期にかけて、本阿弥
家と協働して繁栄した。明寿は実質的な流祖で、刀剣、刀身彫刻、鐔
などを作製。本品は明寿作の代表作品。

 柏樹には葉のところに銀象嵌で水滴を、また透かしにより実を表し
ている。柏は春に新芽が出るまで落葉しないことから、家系が途切れ
ず繁栄する縁起物として好まれた。
 真鍮地の表面に微細なひび割れと独特なにじみがあり、これは“く
さからし”という金工技術で、陶磁器の貫入や“たらしこみ”(俵屋宗達)
を想起させる。耳の肥厚には手捏ねの楽茶碗に似せた素材感が漂う。
まさに桃山文化の骨頂だ。
TNM(台東区上野公園13-9)

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