アースと会話

馬に乗る台をアースの横に置くと、スルッと動いた。
いつもは私が騎乗するときは、じっとしているのだが今日は
虫の居所が悪いのだろうか。アースに近づき目を見て言った。
「アースじっとしていなくちゃ～、ダメでしょ」
すると今度はじっとしているが、私が鐙に足をかけるとすぐに
歩き出した。アースが歩き出しても、私が瞬時に飛び乗ること
ができるのを見越して動き出すのだ。
・
常歩、軽速歩と移行するが動きが遅いので、軽くムチでお尻に
当てると徐々にスピードが増してきた。駈歩に志向するときも
スピードは遅いので、ムチでお尻を当てようとすると「ムチを
肩に当ててください」とインストラクター。その通りに肩に当
てると、アースにしてはめずらしくひどい尻っぱねをした。
・
馬上から後ろ足で蹴る尻っぱねの大きさが、スローモーション
のように見えた。普通は見えないのだが、自分が冷静である証
拠かなと納得。肩にはほとんど当てないので、気に入らなかっ
たのだろう。たまには肩にムチを当てて慣るようにしよう。
・
４０分の騎乗が終わると、アースは汗びっしょりになるので
この季節は水で足を洗ったあと、足内側の太ももにも水をかけ
てやる。この時の爽快感が、アースにとって何者にも変えられ
ないごほうびになる。体を洗ったあと、タオルで拭いてあげて
厩舎に連れて行き「アース今日もよく頑張ったな」と褒めてや
ると、この時聞き耳を立ててじっとしている。私の今日最後の
言葉を待っているようだ。

 

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