とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

花火が似合う

2012-10-02 22:06:36 | 日記
花火が似合う




「長岡の花火」(山下清 昭和24年)

 昭和24年の夏、山下清は日本一の長岡の花火を見た。そこで「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたらきっと戦争なんか起きなかったんだな」と言ったという。戦火で変わり果てた長岡・・・。そこの戦争犠牲者への追悼の祈り、そして、復興への願い。長岡の花火にはそういう人々の思いが込められているという。その山下清の描いた「長岡の花火」をいまも大切に所蔵しているのが「長岡花火」を支えつづけてきた花火師、嘉瀬誠次である。
「全ての爆弾を花火に換えたいねえ。二度と爆弾が空から落ちてこない、平和な世の中であってほしいんだよ。破壊のための火薬を楽しみのために使うんさ」。花火師嘉瀬誠次の言葉も胸を打つ。

 小学校の各店舗が同時に開店しました。長い準備を重ねた甲斐あって、岡田さんの農場で生産した新鮮な農作物、地元商工会から出品された食品・雑貨・衣類・電気製品、地元有志から出品されたお宝・リサイクル品等、画家、イラストレーターの小作品、小室さんの陶芸品、・・・等々品数だけは小さなスーパー並みでした。各店の担当者はもちろんボランティアも休む暇もないくらい働いていました。
 初日のお客は七百人位でした。まずまずの入りで各店の関係者はほっとしました。古賀所長も私と長柄さんが閉店前に事務室に挨拶に入ると、笑顔で応対してくれました。

 ご縁市場の初日は大成功でした。これから各店舗の代表者の反省会がありますが、私は堂々と出席できます。

 ほんとによかったです、おめでとうございます、と私と長柄さんは晴れやかな気持ちで挨拶しました。

 前宣伝が不十分だったので心配していましたが、珍しさも手伝ってたくさん来ていただきました。

 所長さん大成功、大成功、と言いながら佐山医師と岡田さんが入ってきました。その後ろに冴子さんもいました。

 あっ、長柄さん、畝本さん、今夜商工会の肝いりで花火大会が開かれるので、ぜひ見に来てくださいね。佐山先生が弾んだ声で私たちを誘ってくれました。

 えっ、花火もあるんですか、ありがとうございます。二人はお礼を述べた。

 郁子さんと花火師が時間かけて打ち合わせをしてましたから、いいものが見られますよ、と岡田さんが付け加えました。

 必ず来させて貰います。そう私が言って、二人は帰りました。

 そして、日が暮れるとまた二人で出かけました。秋の花火はニケの背後から空高く打ち上げられ、様々な色に像が染まりました。こんな情景がこの場で現出するとは想像もしていませんでしたので、私はただただ不思議な世界に酔いしれていました。ニケと花火。なかなか似合っていると思いました。

 スタートは大成功、これからが正念場だね。長柄さんは慎重な発言をしました。

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