霜月やもの食はず蝶眠るなり
庭枯るるなに慰むるすべもなく
亜紀子
霜の夜半ちりぢり卓に子らのもの 亜紀子
結ぼれつ車窓を伝ふ冬の雨
木の実食ふ鵯の饒舌したつづみ
石割れて小春の蜂を吐き出せる
大川の橋下暮しに紅葉濃し
遁走の猿にもみぢの風つのる
腹晒すボートもみぢの雨の中
所在なき漕艇部員もみぢ雨
枯れつつもいよよ声澄む野の虫か
紛れなし桜落葉に群雀
裏道も水木もみぢの回廊に 亜紀子
立ち止るひとりだになく秋の暮
傾く日桜もみぢに照りわたり
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