橡の木の下で

俳句と共に

七月

2009-07-01 22:21:58 | 俳句とエッセイ
サーファーの中の一人が秀に出づる (平17橡11月号)
人影に小魚さ走る磯遊び      (平16橡6月号)
六月や針を散らして稚魚の群    (平15橡8月号)
裏返り小蛸が子らを脅しけり    (平14橡8月号)
                         亜紀子

7月の始まり。暦をめくると一息に季節の進んだ錯覚。頭の中で伸び縮みする時間。

磯に寄ってくる魚は臆病に見える。ほんの帽子のつばの影にもさっと身をひるがえして物陰に隠れる。楽しそうに遊んでいるかと見えた小魚の群れも、瞬時に滑るようにして一斉に遠くへ逃げてしまう。危険が去れば、いつの間にまた戻っている。彼らは恐れているわけではない。敏感なのだ。僅かな刺激に素早く反応するが、解き放たれるときにはいたって自由だ、大洋が待っている。
私は自分の頭の作り出した罠に足を取られる。恐れる。精神こそが何より自由であるはずなのに。


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