『十三夜』
令和二年 師走発行
著者 児島美穂子
発行所 Baum
著者略歴
大正14年12月 東京に生まれる
平成2年10月 名谷句会 谷迪子先生入門
平成3年3月 「橡」初投句
堀口星眠先生に師事
平成20年3月 「橡」青啄木鳥集同人に推さる
俳人協会会員
問い合わせ
〒673−0014
兵庫県明石市川崎町2−13
明石ファミリーハイツ3番館638号
児島美穂子
序
児島美穂子様へ
毎月の投句に添えられた児島さんの手紙は一点の曇りなく、瀬戸内の明るい光と風と波を目にする印象です。悲しいときは励みになり、嬉しいときは一層楽しく。児島俳句も然り。なかなかお会いするのも難しい時勢ですが、俳句の世界を共有する幸せに感謝しております。
昨日今日明日も朗らに小鳥来る 亜紀子
令和二年 秋
児島美穂子「十三夜」抄
芭蕉葉を叩きて夕立始まれり
秋霖やグリム銅像帽ななめ
神迎ふ奥大山の霧はれて
義士の日や友にはぐれて泉岳寺
梅渓のひと目八景雲ながら 月ヶ瀬
湾岸線輸出車ならぶ豊の秋
風そよぐ離島に立てり鯉幟
赤児の歯大きく四本夏立てり
暫の顔に似たるや松葉蟹
わが家の魔女は片言大年に
風の中指笛高く愛鳥日
屋根の上猫かしこまる十三夜
春の暮紫雲に染まり有馬富士
干蛸のプリマめくさま爪立ちて
手を離す城も逆さや梯子乗り
父の日や長寿の吾れを呆れしか
赤とんぼ一夜網戸にキの字なる 転居
春愁のやつぱり句友に会ひたくて