橡の木の下で

俳句と共に

「しなさはぐるみ」平成28年『橡』10月号より

2016-09-26 11:47:25 | 俳句とエッセイ

 

しなさはぐるみ 亜紀子

 

新盆の鉦叩きをる葎かな

迎へ日のいつか果てをる遠花火

暑き日を富士へ旅立ちゆかれけり

盆過ぎの庭草のみな疲れをり

青鷺の水に腹浸け暑をしのぐ

猛暑日のひとり涼しき蝶とんぼ

しなさはぐるみ大滝のごと花穂垂るる

大夕立素知らぬ顔にあがりをる

草引きの連れはラジオのほまち畠

瑕瑾なき蜂の徳利の首長き

蜂の巣の全きに毒浴びせたり

白洲邸烏柄杓が舌出して

獺のごと玻璃器陳列夏炉の辺に

パソコンもちんちんに沸く暑さかな

螺子ゆるびつまづき鳴ける残る蝉

 

 

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