しなさはぐるみ 亜紀子
新盆の鉦叩きをる葎かな
迎へ日のいつか果てをる遠花火
暑き日を富士へ旅立ちゆかれけり
盆過ぎの庭草のみな疲れをり
青鷺の水に腹浸け暑をしのぐ
猛暑日のひとり涼しき蝶とんぼ
しなさはぐるみ大滝のごと花穂垂るる
大夕立素知らぬ顔にあがりをる
草引きの連れはラジオのほまち畠
瑕瑾なき蜂の徳利の首長き
蜂の巣の全きに毒浴びせたり
白洲邸烏柄杓が舌出して
獺のごと玻璃器陳列夏炉の辺に
パソコンもちんちんに沸く暑さかな
螺子ゆるびつまづき鳴ける残る蝉