句集『桑弧』
平成29年12月20日 発行
著者 大塚洋二(おおつか ようじ)
発行 揺籃社
私家版
著者:
昭和25年 群馬県前橋市生れ
平成2年 橡入会
平成29年 橡新人賞
平成30年 橡同人
問合せ先:
〒371−0056
群馬県前橋市青柳町915−2
大塚洋二
抄:
行く舟を巻きつつ海猫の渡りかな
義士の日の腹こしらへて子は塾へ
佐渡弥彦ともに見えゐて雪起し
注連貰赤城の裾に住みなれて
北国街道蚕種たやさぬ一戸あり
初赤城裾ゆるやかに我が家まで
切れ切れにのこる旧道初音せり
相思樹の揺るる花かげ胡弓の音
秋燕風の便りを託されて
亀鳴いて友に補聴器すすめけり
田へ急ぐ八海山の雪解水
溝五位の羽音しのばせ朝帰り
抜け穴の残る母校の木の芽垣
今日もつて消ゆる村の名迎春花
草刈隊ラジオ体操して散れり
キューポラの古びし空に秋の声
親鸞像堅雪に杖つきたてて
牧水の健脚しのぶ夏野かな
とりどりの花種もらふ成人日
あすなろの並木ひときは天高し
色鳥や音かろやかな藜杖
遠目にも田鳧とわかる髪飾り
青胡桃まろぶ辰雄の散歩路
姥百合は森の道標四方を指す
檸檬風呂京は古くて新しき