橡の木の下で

俳句と共に

草稿01/15

2017-01-15 11:23:42 | 一日一句

雪一夜見知らぬ街に来たやうな  亜紀子

 


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「早春」俳句α 2-3月号より

2017-01-15 11:19:35 | 俳句とエッセイ

 早春   亜紀子

早春や虻は天鵞絨(びろうど)脱ぎもせで

丸まなこ洋梨形のつり虻に

蟇出でて辛夷(こぶし)の下の恋の詩

きさらぎの何やら水を濁すもの

金の斧水のいづくに榛(はん)の花

立春や小屋根の野良に声かくる

寒戻り林に雲も滞り 

 

 風はまだ冷たいけれど、背中に当たる日差しの温もり。地下鉄を乗り換えて植物園にやって来た。ビオトープの一画。小さく丸く、口吻の長い可愛らしい虻が十二単の叢を飛び回っている。天鵞絨吊虻(ビロウドツリアブ)、この季節にだけ現れる。早春、愁いは知らず、心すなおに弾む。

 

 


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