加藤拓也さん脚本・演出の舞台「いつぞやは…」大阪公演を10月上旬に見てきました。
世田谷パブリックシアターの東京公演は見送ってしまった。コロナ明けでまだ体力に自信がなかったのと、やはり主演の窪田くん降板は大きい(!)
大阪はなんと最前列ほぼど真ん中という、人生で二度とないであろう、かぶりつき席でした。でも首が痛い(笑)。のでやっぱり6列目ぐらいがちょうどいい。
結論から言いますと、とっても面白かったです。
登場人物がほぼ六人、男三人女三人(+赤ちゃんの人形)しかいないので、会話劇です。加藤拓也さんという方は大きな戯曲賞もとられた、新進気鋭の劇作家、なんでしょか。
監督が若い方なんで、登場人物たちも30歳過ぎぐらい?「若者」の時期は過ぎて、夢から現実に向かうお年ごろの設定です。
主人公の男、一戸(いちのへ)は、ステージ4の癌がみつかり、かつて一緒に活動した演劇仲間たちに会いに行きます。
結婚したり正社員になったり、演劇ひとすじではいられなくなった仲間たち。癌と知ったらどう接していいか、みんな戸惑います。
「そんなに親しいわけじゃないけど別に嫌いじゃない」という微妙な関係性を、「もう亡くなった友達のインスタのアカウントって、消すに消せないよね」と表現する。わかるなあ。その感じ。
終始SNSの話が出てくるので、年配のお客さんは「全くわけわからん」とボヤいてました。それはしゃーない!?
一戸は仲間たちと再び稽古にはげみ、最後の劇をささやかに上演、抗がん剤治療をやめて故郷の青森に帰ります。
青森では、赤ん坊を抱えシングルマザーとして働いている元カノの女性が、ひょんなことから彼を支えてくれました。
この「一戸」という男だけが他の仲間より少し年長で、中年にさしかかろうとしている「くたびれ感」が、代役の平原テツさんから滲み出ていました。たぶん実年齢でも40過ぎぐらい?
35歳の窪田くんが一戸を演るには、この「中年のくたびれ感」が果たして出せたかしら?かなり疑問に思いました。
なので、降板して急遽代役が舞台に上がったのに、まるで最初から平原テツさんが主人公にキャスティングされていたかのような、不思議な調和がそこにはありました。
一戸という男は過去はなかなかヤンチャで、まあ「田舎のヤンキー」か(笑)。
上京後もパッとせず、演劇をやめてからはクーラーの取付工事の仕事をしている時に癌になってしまい、気が付けば恋人も妻子もなく。田舎では老いた母一人。
かなりあやしい(悪事)もやりながらなんとかお金を稼いでいて、まったく褒められた人生ではありません。
それでも最後の最後には、彼なりの幸せをつかみ旅立ちました。
ラストはちょっと泣いてしまいました。
立派な人生でなくても、ただなんとなくインスタでつながっているだけでも、人間と人間のつながりって面白いね。
「友達のおしゃべりを聞いているような舞台にしたい」と加藤さんは語ってましたが、まさにそのような、自分の身近に起こっているかのようなリアリティが良かった。
「たま」の懐かしい歌が出てきたり、空気人形が出てきたり、かなりわけわからんのですが(笑)、胸にじんときました。私も友達を癌で無くしているからか。
そして、演劇仲間たちの姿が、私のかつての絵描き仲間たちと重なります。
夢はもう遠いところに行ってしまって、理想とは程遠い人生になってるけれど、まあ捨てたもんじゃない。
生かされてるうちは生きようぜ。
熱い友情物語でもなく愛の物語でもないけど、とにかく楽しかったのは会話のテンポかな?場面転換も上手い。
しかしまた絶対(!)、加藤さんと窪田くんのタッグで舞台見てみたいです~。
最近仕事にも復帰して、首の骨もくっついたようで良かった良かった。
ほぼ一週間で代役を作り上げた平原テツさん、あっぱれ!★
世田谷パブリックシアターの東京公演は見送ってしまった。コロナ明けでまだ体力に自信がなかったのと、やはり主演の窪田くん降板は大きい(!)
大阪はなんと最前列ほぼど真ん中という、人生で二度とないであろう、かぶりつき席でした。でも首が痛い(笑)。のでやっぱり6列目ぐらいがちょうどいい。
結論から言いますと、とっても面白かったです。
登場人物がほぼ六人、男三人女三人(+赤ちゃんの人形)しかいないので、会話劇です。加藤拓也さんという方は大きな戯曲賞もとられた、新進気鋭の劇作家、なんでしょか。
監督が若い方なんで、登場人物たちも30歳過ぎぐらい?「若者」の時期は過ぎて、夢から現実に向かうお年ごろの設定です。
主人公の男、一戸(いちのへ)は、ステージ4の癌がみつかり、かつて一緒に活動した演劇仲間たちに会いに行きます。
結婚したり正社員になったり、演劇ひとすじではいられなくなった仲間たち。癌と知ったらどう接していいか、みんな戸惑います。
「そんなに親しいわけじゃないけど別に嫌いじゃない」という微妙な関係性を、「もう亡くなった友達のインスタのアカウントって、消すに消せないよね」と表現する。わかるなあ。その感じ。
終始SNSの話が出てくるので、年配のお客さんは「全くわけわからん」とボヤいてました。それはしゃーない!?
一戸は仲間たちと再び稽古にはげみ、最後の劇をささやかに上演、抗がん剤治療をやめて故郷の青森に帰ります。
青森では、赤ん坊を抱えシングルマザーとして働いている元カノの女性が、ひょんなことから彼を支えてくれました。
この「一戸」という男だけが他の仲間より少し年長で、中年にさしかかろうとしている「くたびれ感」が、代役の平原テツさんから滲み出ていました。たぶん実年齢でも40過ぎぐらい?
35歳の窪田くんが一戸を演るには、この「中年のくたびれ感」が果たして出せたかしら?かなり疑問に思いました。
なので、降板して急遽代役が舞台に上がったのに、まるで最初から平原テツさんが主人公にキャスティングされていたかのような、不思議な調和がそこにはありました。
一戸という男は過去はなかなかヤンチャで、まあ「田舎のヤンキー」か(笑)。
上京後もパッとせず、演劇をやめてからはクーラーの取付工事の仕事をしている時に癌になってしまい、気が付けば恋人も妻子もなく。田舎では老いた母一人。
かなりあやしい(悪事)もやりながらなんとかお金を稼いでいて、まったく褒められた人生ではありません。
それでも最後の最後には、彼なりの幸せをつかみ旅立ちました。
ラストはちょっと泣いてしまいました。
立派な人生でなくても、ただなんとなくインスタでつながっているだけでも、人間と人間のつながりって面白いね。
「友達のおしゃべりを聞いているような舞台にしたい」と加藤さんは語ってましたが、まさにそのような、自分の身近に起こっているかのようなリアリティが良かった。
「たま」の懐かしい歌が出てきたり、空気人形が出てきたり、かなりわけわからんのですが(笑)、胸にじんときました。私も友達を癌で無くしているからか。
そして、演劇仲間たちの姿が、私のかつての絵描き仲間たちと重なります。
夢はもう遠いところに行ってしまって、理想とは程遠い人生になってるけれど、まあ捨てたもんじゃない。
生かされてるうちは生きようぜ。
熱い友情物語でもなく愛の物語でもないけど、とにかく楽しかったのは会話のテンポかな?場面転換も上手い。
しかしまた絶対(!)、加藤さんと窪田くんのタッグで舞台見てみたいです~。
最近仕事にも復帰して、首の骨もくっついたようで良かった良かった。
ほぼ一週間で代役を作り上げた平原テツさん、あっぱれ!★